Long
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「し、師匠…」
「なんだ、滸」
「…いえ、なにも…」
ヅラを被り直すまでゆっくり時間を掛けてあげたというのに星海坊主は左耳の上にヅラをつけてもはや何を目指しているのかわからない状態だった。
空気を変えるために話題を持ち出す炯。
「あ、名前はー?
自分は炯っていいますー」
「あ、ああ、私はカイだ」
「俺はイワノフだ」
「僕は滸
師匠について行った炯を追い掛けてきたんだ」
「大変だな、お前も」
「この国より大変じゃないよ」
「違いねぇ」
なんとか話が盛り上がり始めた。
「でも一体この星はどうなってるの?」
「三年前に…かくかくしかじか…でな
ほぼ壊滅しちまった」
「そっか…まるまるもりもりなことがあったんだねー…」
「「え?いや…え?」」
「あー、こいつの話は半分聞き流しといてください
いわゆるアレですよ、アレ
右から左へ受け流す〜♪ですよ」
「「(こんな人達で本当に大丈夫だろうか)」」
一抹の心配はあるもののシェルターと呼ばれる地下の建物へ車が入って行った。
「みんなー聞いてくれェェ!!」
カイが最上階で演説を始めると住民達はカイを見上げるが星海坊主をニセモノ呼ばわりしたりと聞く耳を持たない。
ある親子が柵の上に女の子を立たせると小さい男の子は姉ちゃんばっかズルイ〜と駄々をこねているのを見て滸と炯はニヤリと笑う。
「「タイタニ○ク!」」
「だーかーら違うっていってんだろーが!」
スパン!…ズル…
馬鹿二人がタイタ○ックの真似をするのとイワノフが星海坊主のヅラを叩き落とすのはほぼ同時であった。
「ヅラだァァァァァ!!
アイツヅラだぜェェェェェ!!」
「なんだよあの完成度の低いタイ○ニックの真似はよォ!」
「どこの世界にヅラ被った英雄がいるかァ!!」
「もうちょっとうまいウソつきやがれ!!」
「待ってくれみんな!!
私の話をきいてくれェ!
みんな!!
みんなァァァ!!」
徐々に各々の部屋に戻っていく住民にカイは叫んだが誰も振り返ることはなかった。
(結構力作だったんだけどね…)(うんー…)