ルパン三世

□1.1
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アパートに帰り着いた次元を待つのは仏頂面のルパンだった。
カフェにいたこそ泥の小僧は騒ぎの間に姿を消していた。




「どうした、ルパン。腹でも痛いのか」




途中で買ったクロワッサンの袋を投げ渡す。




「嫌になっちまったぜ。半年かけた計画がパーだ。

なんと、俺達が東京にいた先週、どでかいハリケーンがこの国に上陸して、博物館の屋根を吹っ飛ばしたんだと。

おかげで宝物殿のお宝はすべて国立銀行の地下金庫いき。博物館は補修工事の真っ最中だ。

俺達が昨日遅くに着いたんで、知らせる暇もなかったって、こっちの情報屋から今、連絡があった」


「何だってそういう肝心なことを、もっと早くに知らせねえんだ」

「まったくだ。
あーあ、せっかく久しぶりに不二子と組んで仕事ができると思ったのになあ」




ルパンはクロワッサンをくわえ、天井を見上げた。




「抜け目のねえ不二子のことだ。
博物館が襲えねえとなりゃ、とっくにこの国からトンズラしてるぜ」

「五右エ門のは今、連絡した。
東京で修業を続けるだとさ」


「なら、わん達もこの国をトンズラしましょうか?」

「Wait!あのboyが来るまでもうちょっと待ってよ!」




ルパンは驚いて飲み込もうとしたクロワッサンが喉に詰まり青い顔で胸を叩いた。
そしてしばらくして治まれば青かった顔をすぐに血色の良い薄桃色に染め上げた。




「滸じゃなぁいのぉ!」

「こんにちは、浮気者のルパン三世」

「不二子ちゃんはただの仕事仲間だってぇ!」

「はぁ、もう貴方の浮気癖には飽きれ、んんっ」




滸が文句を言おうとすれば体を引き寄せられていきなり甘く深いキスをされる。
滸は始めこそ嫌がっていたものの敵わないことを知っているのかすぐに抵抗をやめた。




「じ、次元…ミーはあんなにhardなkiss無理だ…」

「お前はまだ見なくていい」

「で、でも見たいよ!」

「バカか、お前は」




はぁ、と溜息を吐きつつ炯を引き寄せては目元にさっと大きい手を覆わせて見えないようにする。
相変わらず小さい彼女は自分の腕の中にすっぽり収まった。
顎まで置ける始末だ。




「さ〜て、ベッドは向こうだぜ、滸」

「「「いやいや(NOーno)おかしい(だろ/です)」」」

「ちぇー…」

「それより半年前からの計画とは何ですか?」

「ああ、それは……」




何でも、この国の国立博物館に併設された宝物殿を襲う仕事だったらしい。
独裁者ドゴン将軍が金にあかせて世界中からかき集めたお宝が置かれているのだそうだ。


ドゴンとは八年前にクーデターを成功させ、王族を一人残らず処刑して、この小さな国の独裁者に収まった男。
噂では残酷な軍事マニアで、世界中から最新の武器を取り寄せているらしい。




「なら用意していた道具はそのままで、補修工事が終わった頃もう一度作戦を練り直しましょう。」

「そうだな、んじゃあベッドの方に…」

「しつこい!Ladyはしつこい男は嫌いなんだよ?」

「炯、それよりもうそろそろ着く頃合いですよ」

「Realy?…あ、来たみたいだねっ」

「…誰が来たんだ」




滸が炯に話し掛けたとき外からかすかに物音が聞こえてきた。
当然ルパンと次元は警戒の色を濃くするが二人は至って普通にドアを開けてその人物を招き入れた。




「お前は―――」




そこには深くハンチングが被った少年がいた。







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