ルパン三世

□1.3
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「おい、行かないのか」

「ミー達はまだここにbusiness(仕事)が残ってるんだ」

「へぇ、なんの仕事なんだ?」

「ルパンに教える義務はありませんよ
わんは仕事もそうですが腰が痛いのでまだここに残ります」

「ルパン、お前…」

「Don't cry…滸」

「泣いてないです」




あれからルパンと滸が次元と炯の前に姿を現したのはきっかり一時間後のことだった。


腰を抑えて出てきた滸に炯が駆け寄り頻りに大丈夫かを尋ねていたのは今さっきのことである。

逆にルパンが満足げな顔で出て来た時つい次元は相棒に手を伸ばして吠えさせようとするほどにやけていた。



そして冒頭に戻る。




「なら俺らは先に行くぜ」

「次に行くのはどの国ですか?」

「まだ決まっちゃいないが、きっと南米だぜ、滸」

「げっ、南米へ向かうのか」




"南米"
その土地(というより南半球)は次元の感覚をおかしくさせる。
次元自体が自覚しているからそれを聞いて尚更嫌そうな顔をしていた。




「OK!Businessが終わり次第すぐに行くよ」

「…きっとまたこのアパートに戻って来るんでしょうけど…」




意味深な言葉を最後にルパンと次元はアパートを出て空港に向かって行った。


それを見送った二人は仕事の顔付きになりさて、と息をつく。




「炯、マリオに渡した小型発信機の調子はどうですか?」

「No problem!良好だよ」

「なら次の準備に移りましょう。
とりあえずこのアパートの一部屋一部屋にこれを設置してきてください」

「これはなに?」

「内側からしか開けれない防犯ロックです。
幸い今はこのアパートの住民は皆出掛けているようなので」

「OK.行ってくるよ」




炯がアジトとして使っている部屋から出ていくと滸は自分の鞄から少し改造されたノートパソコンを取り出して地図を画面いっぱいに表示した。

その画面には赤い点と青い点が二つ表示されてあり、青い点の方は空港に向かって進んでいく。
ルパンと次元だ。




「着けてきたよ」

「お疲れ様です。
では今度は万が一のために避難経路を作っておきましょうか」

「Wait…住民をroomから閉め出してどうするの?」

「ルパン達は恐らく空港からここへ戻って来ます。
推測でしかありませんが…ドゴンの手下に国から出さないように仕向けられると思うので」

「じゃあ戻って来た時巻き込まないように閉め出しに?」

「そうです」

「Good idea!さすが滸!」




そうして避難経路を作っているとパソコンに表示されていた赤い点がアパートの前までやって来た。




「あ、あの…ルパン?」

「マリオ!さぁ、中へどうぞ」




怯えきっているマリオを中に招き入れて、先程男二人組が空港へ向かったこと、きっと戻って来ることを教えてやればマリオはフム、と小さく頷いた。




「じゃあボクが脱出を手伝ってあげる」

「Thank you!マリオ!」

「ありがとうございます」

「か、家族、だから…」




えへへへ、と照れ臭そうに笑うマリオを滸が優しく抱きしめると炯は背伸びしながらそっと頭を撫でた。




「では、マリオには知り合いから馬を借りてきてほしいんです」

「馬?」

「そして、ガソリンを満帆にいれた樽をいくつか頼みたいんですが」

「わかった」

「ミーは心配だからついて行こうか?
滸のfriendはいい人ばかりだけどたまに怖い人もいるんだ」

「ううん、大丈夫!
ボクは一人でも出来るよ!」

「ならいいんだけど…
You are not alone、ミー達がいるからね」

「ありがとう」




満面の笑みでアパートから出て行ったマリオを見送って滸と炯は顔を見合わせた。




「あの子は恐らく…」

「Um…そうだろうね」




そうして次の準備が終わったころ何台ものパトカーのサイレントの音と共にルパンと次元はアパートに帰って来たのだった。







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