ルパン三世
□1.3
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豪快な音と共にルパンと次元はアパートの部屋に入って来た。
ルパンはソファに沈み込み、次元が窓際に立って外の警備を確認する。
「にしてもあいつらいないじゃないか」
「俺達を追い掛けて空港へ向かったとしても、あの盛大なパトカーのパレードに気付いたはずだ」
「まあそういうなよ、次元
あいつらにも考えがあるはずだ」
そうして一度口を閉じてから今はラピッドと名乗っている"チコ"の話をし始めた。
もともと右利きだったこと
メキシコで拳銃の武者修業中にティファナの近くにいた伝説的なガンマンの男"イーグルアイ"のこと
その"イーグルアイ"の弟子だったラピッドに対決を挑まれたこと
殺さないことで精一杯で右手の人差し指を吹っ飛ばしてしまったことを話した。
血まみれの右手を抱えて転げ回るチコを、病院に担いで行きそのままそこを離れたらしい。
「じゃ、"イーグルアイ"の極意ってやつは?」
「結局教わらなかった。
それどころか、その一件から半年の間は、ハジキを握るのも嫌だった。
まあ…その時炯に出会ったんだが…」
その後チコはイーグルアイに引き取られたことは知ってる、そう言ってから次元はキョロキョロと辺りを見回した。
「どうしたんだ、次元」
「誰かいるぞ」
声を潜めてルパンに伝えればルパンの顔は険しくなった。
そして相棒片手に一部屋ずつ確認していくと次元にいきなり何か銀色に光るものが飛びついた。
照準を合わせる隙も暇もなかった。
「次元!ミーは次元を咎めたりしてないから!」
「って、炯かよ。驚かせるんじゃねえ」
「Sorry.けどどうしても頭を撫でてやりたくて」
よしよし、と背伸びして頭を撫でてくる炯を次元は溜息を吐きながらしゃがんでやった。
「お陰で作戦変更ですよ」
「うわっ
お前どこから出て来てるんだ、滸」
「見てわかりませんか?
洗濯機の中ですよ?」
「ちなみにミーはrefrigerator(冷蔵庫)の中だよ」
「だからこんなに冷たいのか…」
ルパンが洗濯機から顔を出した滸を抱き上げて洗濯機から出してやり、次元は小刻みに震える炯の体を摩ってやった。
「なんでそんなとこにいたの、滸」
「あなたたちに気付かれたら作戦が失敗するんで、隠れてたんですが…
作戦変更です、炯、準備を始めますよ」
「OK.じゃあ馬車でそのまま逃げるんだね」
「どういうことだ?」
「そのうち、わかりますよ」
綺麗に微笑んでルパンと次元に見えるようにパソコンを見せる。
画面には赤い点がアパートで止まり、青い点が凄いスピードでこちらに向かってきていたのであった。