ルパン三世

□1.7
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次元はドゴンの首を掴んだまま移動した。
対戦場の出口へと向かう。

あとにマリオが続き、滸と炯が前を誘導していく。
その時にこっそりと滸が炯に話し掛けた。




「相当心配したんですね?
咄嗟過ぎて母国語が出るくらいに…」

「ち、Choosy(うるさい)!」

「真っ赤な顔で言われても怖くありませんよ」




クスクスと笑う滸を見るのも恥ずかしくて下を俯いた。

滸が出口を潜った瞬間――マリオが出口を潜る少し前――、煙幕弾を破裂させる。




「こんな真似をして逃げられるとでも思っているのか」

「少し黙ってください」




出口には救急車が待っており、中にはさっき次元の診察をした医師、ルパンが乗り込んでいた。

乗れっ、ドゴンを後部席に押し込んで全員が乗るのを確認し、救急車は発進した。
サイレンを鳴らし、疾走する。




「無駄だっ、儂を人質にとってもこの国からは逃げられん!」

「そいつはどうかな」

「ミーを粗末に扱ったお返し!」

「いてっ、やめろっ」




えい、えいっ!と炯がドゴンを殴る中救急車は追っ手を振り切り、旧ラモン伯爵邸に滑り込んだ。

その頃にはドゴンの頭にはいくつかタンコブが出来ていた。












「こ、ここはラモンの屋敷」

「その通り。 そして私は――」




マリーが帽子を脱ぎ捨てた。
ドゴンの目が驚きに丸くなった。




「お前はマリー公女」

「勝負しなさい!ドゴン」

「…ルールは決勝戦と同じです。
くれぐれもフライングはしないように」

「飾りもんじゃ勝負出来ねえだろ。ほれ」




滸は即席の対戦場を作り、ルパンはドゴンの腰から黄金のコルトSAAを抜き取って、本物のコルトをガンベルトに差し込んでやった。




「し、しかし……」

「そいつは本物のコルトだ。
弾も六発入っている。
マリーもさっきは空砲を使ったが、今度は実弾をこめてる」

「本当ならあなたが私の家族にしたように犬のように撃ち殺したい。
でもそれじゃ、私のプライドが許さない。
貴方が勝てばここを出て行ける。
ルパンも次元も手出しをしません」




マリーが厳しい声音で言った。
ミーはまだ殴るよ、ラピッドの分まで!と誰かさんが呟いてるのは無視した。




「わん達の欲しいものはもう戴いてますので。
どうぞ、行くなら勝手に行ってくださって構わないですよ?
勝てば、の話ですが」

「ブザーは鳴らねえ。
代わりに俺が声を掛ける」




ルパンが宣言した。
荒い息を吐きながら、ドゴンは背筋を伸ばした。
マリーは静かに向かい合う。




「レディ―――」




ルパンが言った瞬間、ドゴンが銃を抜いた。
銃声が2つ(正確に言えば4つ)、屋敷内に響き、それに少し遅れて炯は体を壁にたたき付けられた。




「フライングです。
審判の、ルパンの言うことを聞かなければこういうことになるんですよ」

「散々ミーをいじめたお返し。
お陰で体が飛ばされたけど!」


「く、くそが………」




ドゴンの銃が火を吹いた瞬間、滸が一発目でその銃弾を撃ち落とし、それとほぼ同時(音が一つに聞こえる程)に二発目でドゴンの心臓を貫いた。

炯の弾は滸の二発目と沿うようにして心臓へ向かい、壁の近くにいたために衝撃で壁に叩き付けられた、というわけだ。


ドゴンががっくりと息絶えるとマリーは二人に向き直った。




「滸姉さん、炯姉さん…」

「マリーには人を殺して欲しくないんです」

「余計なことだったかな?」




マリーの目から涙が溢れた。
男二人がどうやって国を脱出するか口論している間、泣き止まないマリーを慰めつづけた。




「マリー、もしかしたらこれで最後かも知れません。
ですがどうか覚えていてください、マリーは一人じゃない」

「ミーね、偽名を名乗るときメアリーって言ったんだ。
Do you understand?(なぜかわかる?)」

「ううん、わかんない」

「マリーって"Mary"って書くでしょ?
もう一つの読み方はメアリーなんだよ」

「あ…」

「マリー、笑ってください」

「ありがと、う…お姉ちゃん!」




マリーが飛びっきりの笑顔を浮かべたとき、銭形の声が聞こえた。
ルパンは不二子と電話しながらテレビに映る銭形を見た。

どうやらこの国にはもう銭形がいるらしく、不二子は国から逃がしてくれるかわりにコルトを渡せ、と交渉の電話を掛けてきたらしい。




「とっつぁん――」

「どう、ルパン?
悪い話じゃないでしょう」

「うむむむ……」




歯がみするルパンに、3人はボソリと呟いた。




「ルパンの浮気者!」

「お宝せっかくgetしたのに!」


「こりゃあ、拳銃稼業の方が楽だったかな」






END












これにてこの話終わりです!
お次は"バンディット・カフェ"

今回は次元が中心の話だったので炯がでしゃばりましたが、次回はルパンが中心なので滸がでしゃばりますよ!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
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