Ryo’s Room

□廃墟で起きた怖い話2
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移動中、俺達は無言だった。死体を見続けた所為だ。
2階は窓ガラスが割れて、1階よりも荒れた印象だった。
窓から差し込む満月の明かりが、ここを荒城の様に見せる。
だが、幻想的な雰囲気は無い。あるのは、ただ不気味さと恐怖だ。

久美「はいっ、ここで肝試しを行いまーす!」

不気味な静けさを打ち破る明るい声。白いナース服が黒い闇に映えている。
久美(そういえばこいつ、隊長って呼べって言ってたな)は楽しそうに笑っている。

久美「ルールは簡単…二人一組になってここから1階まで1周してくること!
   私は涼と、環はアキラと、エムは杏里と!最初はアキラ&環ペアよ!」
アキラ「隊長!何で俺達が最初なんですか!」
久美「適当に決めたわ!次は私と涼、最後はエムと杏里よ!」

何なんだこのハイテンション。そんなに肝試しが楽しみだったのか?
隊長の考えることだ、まともな肝試しとは思えない。何か罠でもあるのか?
俺がそんな考えをめぐらせている中、アキラと環はライト片手に去っていった。
嗚呼、始まったのだ…肝試しが。
二人が行ったのを確認してから、久美は俺達にこう告げた。

久美「さあ、皆!二人を驚かすわよ!」
杏里「ちょっ、隊長!もしかして、私達皆同じ目に遭うんですか!?」
久美「違う違ーう!安心して、やるのはあの2人にだ・け・よ!」

絶対嘘だ。このドSがそんな事を考えている訳が無い。全員にやるつもりだろう。
そして杏里とエムも、俺と久美を驚かそうとするに違いない。
久美は俺にもう1台の携帯を渡した。久美は携帯を2つ持っているのだ。

久美「涼に携帯渡しておくわね。連絡はこれのメールで」
涼「おう。で、驚かすったって一体何をやるんだぁ?2人は難しいぞ、驚かすの」
エム「そうそう。アキラも環も肝が据わってるじゃん」
杏里「特に環…。あれは凄いでしょ、あれは」
久美「ちゃぁんと弱点は知ってるわよ。環もアキラも物音に弱いの」
涼「とりあえず音で驚かすのか。指示は隊長が出してくれよ」
久美「任せて。涼は階段の踊り場、エムは2階、杏里は私と病室。絶対見つからないでよ」
エム「分かってまーす!」
久美「電話は着メロ、メールはバイブにして。電話が鳴ったらここに集合ね」
杏里「分かった!」
久美「それじゃあ全員、持ち場へ!」
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