Ryo’s Room

□顔の無い道化師
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いつからか人といるのが怖くなった。だけど独りは寂しかった。
俺は暫く独りで、無理矢理色んな人と過ごす内に気付いた。
明るければ、少し位鬱陶しくても構って貰える。おどけていれば誰かが笑ってくれる。
ハイテンションで色んな人と一緒にいれば、いじめられる事も無い。
だから、俺はそうして生きてきた。独りは寂しくて辛かったから。


だけど心のどこかで感じていた。”自分に本当の友達なんかいない”って。
”きっと自分のいない所では、自分を馬鹿にして嘲笑っているんだ”って。



いつからか自分が自分だって確信が持てなくて、生きてるかどうかも分からなく
なって時々どうしようもなくなって身体中から力が抜けて寝転がって泣いて泣いて
全身を掻き毟って髪を引っ張って切って自分で自分の首を絞めてみたりどこかに
目立たないように針を刺してみたりしてああ俺は生きてるんだなって実感する。


馬鹿みたいだ。そんなに苦しいならさっさと死んじまえばいいのに!
首吊りでもガスでも凍死でも焼死でも入水でもクスリでも鉄道でも飛び降り
でも銃でもナイフでも何でもいい、さっさとこの命を終わらせればいいのに!
生きる理由は無いけど死ぬ勇気が無いからのうのうと生き続けている。


さっさとこの意味の無い俺の命を終わらせてまだ生きていたい誰かに
臓器をあげれば、産まれて来た理由も少しはあるっていえるかな?



自分に”自分”なんてものは無くて、いつだってピエロみたいに明るくて
おどけた仮面を被っているんだから、自分なんてどうでもいいはずなのに。
だけど俺は、無様にも自分の命に執着し続けている。
ああ馬鹿みたいだ。馬鹿みたいだ馬鹿みたいだ馬鹿みたいだ馬鹿みたいだ!
俺なんて本当は居てもいなくてもどっちでもいいはずなのに!


よく考えてみれば、俺には”自分”なんて必要ないのかもしれない。
それなら、自分が考えてる事自体馬鹿みたいだ!


道化師に顔なんていらないんだから!

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