Ryo’s Room

□王子様なんて信じてない、から。
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2−C。そこでは今日も仲良し三人組が仲良く顔を突き合わせて
小さな弁当を突付いている。いつもと何も変わらない日常だ。
眼鏡をかけた黒髪の女子生徒は進藤真帆。この中で一番成績優秀だ。
茶髪のセミロングヘアの女の子は山崎優佳。トリオの中で一番の童顔だ。
ブロンドの少女は八乙女千紗子。カナダ人とのハーフである。
「ねえ千紗子〜…本当にいいの?」
「え、何が?」
優佳の言葉に、和風な名前に似合わぬ容姿の千紗子が顔を上げた。
「葵先輩へのアプローチ、しなくていいの?」
「しなくていいよ」
冷め切った声音で言い切った後、鶏の唐揚げを口に運ぶ千紗子。
千紗子は白人であるだけあり、雪の様に白い肌にフランス人形の様な鎖骨までのストレート
のブロンドが映え、大きく明るい露草色の瞳を金糸の如き睫毛が縁取り、薄い花弁の様な
珊瑚色の唇と形の良い眉、小さな鼻、すらりとした体躯、長い手足を持つ愛らしい美少女だ。
が、口を開けば出て来るのは冷めた声音の毒舌が多い。友人に対してもだ。
まるで小鳥の歌の様な可憐な声を持つのだが、冷め切っているのでどこか怖い。
男に対しては更に毒舌がヒートアップし、大概の男はダウンしてしまう。
その為『モテ男キラー』とまで言われているこの少女は、現実的でシニカルである。
基本的に非現実的な夢想家とは反りが合わない。そして自分を強く持っている。
他人に流されず、マイペースで良く言えば強く、悪く言えば協調性が乏しい。
今話題になっている、学校一の美男子―――葵夏陽にも全く興味を示さない。
何せ中学生の頃に『学校一のモテ男』と自他共に認めている美形のプレイボーイの
数々の美辞麗句と演出を伴った求愛に対し、「ウザい」の一言で片付けた女である。
基本的に、千紗子は恋愛には興味が無いのだ。
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