Moonshine

□Moonshine(中)
1ページ/9ページ

【担当:涼】

教室で

武:(祐紀、大丈夫かな・・・あんなにいじめられて・・・。
可哀想だなあ・・・俺が助けてやらなきゃ・・・。
で、でもどうしたらいいんだろう・・・。
だけど祐紀に何かあったら、俺が仇を取るんだ!
桃子・・・あと渉が主犯だ!あの二人を何とかしないと・・・!!
あいつらのせいで・・・祐紀が・・・。)

生徒:なあ・・・古林の奴、最近怖くねえ?

生徒:ああ、あれって石川がいじめられてるからじゃ・・・。

生徒:あいつ、石川が好きっつーのは本当なのかな?

生徒:さあな。でも、あいつには何も出来ねぇだろ。

生徒:ははは。そりゃそうだな。

生徒:でもさ・・・俺、このままでいいのかな・・・。

生徒:ハァ?何言ってんだよ?あのぶりっ子庇うのか?

生徒:桃子やな奴じゃん。高飛車だし・・・。

武:(祐紀が悪口言われてる・・・くそう・・・)

生徒:あのさあ、この学校の怪談知ってるか?

生徒:さあ、知らねぇなあ。

生徒:大輔が言ってたな。聞くか。
おーい、大輔!ちょっと来い!

大輔:あ、うん・・・。何?

生徒:お前さあ、前に変な話してたよな。

大輔:変な話?したっけ?

生徒:バーカ、この前話してた怪談だよ。

大輔:あ、あったなそれ・・・。

生徒:話せよそれ。

生徒:教えてくれよ大輔ぇ。

大輔:昔、いじめられてた女の子がいたんだって。石川さんみたいな人。
その子自殺したんだけど、その霊がその子を好きだった子に乗り移ってさ・・・クラスメートと先生を殺し回ったんだってさ・・・。

生徒:へぇ、それくらいかよ。つまんねーな。

生徒:聞き損だぜ。時間もったいなかった。

【担当:琥珀】

そこで、さっきまで黙っていた章吾が口をはさむ。

章吾:いや、あながち有り得ない話でもないと思うぞ。

生徒:またかよ章吾〜。
オカルト発言は別にいいって。

章吾:しかし・・・

大輔:別にいいよ章吾君。
俺も何となく喋っただけだし・・・。

章吾:でも・・・

“嫌な予感がするんだよ”

そんな章吾の呟きを誰も聞いてはいなかった。
章吾は一人溜息をつく。
そして、最近自分がよく見る夢を思い出す。

「クラスの、自分以外の生徒が、一人の生徒に殺される夢」

何故、自分は殺されないのか、殺人を犯す生徒は誰なのか、本当にそれは夢なのか・・・章吾にも分からない。
章吾は昔から人の死を予知することができた。
だからこそ、こんな夢など見たくないのだ。
クラスメートには誰一人として死んでほしくない。
たとえそれが[祐紀]や[桃子]であったとしても・・・。

章吾は一人悩む。
それが、ただの杞憂で済むことを願いながら。

あの時、みんながもっとあの怪談について深く考えていたら最悪の事態は免れただろう。
もしくは、何事もなかったように平穏な毎日を送れたかもしれない。
しかし、それすらもう遅い。
彼らは開けてはならぬパンドラの箱を開けてしまったのだから・・・・――
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ