Moonshine

□Moonshine(後)
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【担当:涼】

章吾の様子を見るのと、霊感の強い彼に怪現象を尋ねる為に、陸と和義は章吾の家に向かった。
章吾は整った身なりで、学校には行かないが自主的に勉強はしているようだった。
陸と和義は部屋に招かれ、まず祐紀の自殺の事を切り出した。
次に語ったのは、学校内で起きた怪現象の事だ。

章吾:…知っているさ。葬式があったから…。

和義:それで…起きた事は…。

章吾:さあ…実際に見てないから、何とも…。

陸:大変だったのよぉ、あれ。あたしだって怪我しちゃったんだからぁん。

章吾:…クラスの大半が怪我をしただろう?

陸:そうよぉ。ほんっと、どんだけ〜!

和義:もう終わったからいいんだけど、皆が「祐紀が呪い殺しに来た」って言ってたんだよ。

章吾:”もう終わった”…か。

章吾は顔をしかめた。
まだ、悪い予感は終わっていない。
きっとこれは―――ハジマリだ。
もしかしたら、ハジマリにさえ満たないのかもしれない。
きっと、まだ終わっていない。
”呪い”は続いているのだ。

章吾:…そうだ。死因は何だったんだ?

和義:えーっと、学校の底なし沼に飛び込んだらしいよ。

陸:なんかねぇ、沼に沈んじゃって死体が引き揚げられなかったらしいわよぉ。どんだけ〜!

章吾:…担任は?

和義:ああ、馬鹿だよあいつ。だって、クラスには問題なかったって言ってるんだから。

章吾:そう、か…。葬式に…誰か出たのか?

陸:桃子が出たって聞いたわ。嘘泣きして親戚騙したらしいわよぉ〜!どんだけ〜!

楽しげに笑う和義と陸。
二人はきっと、何も分かっていないのだろう。

学校の底なし沼に深く沈んだ、祐紀。たくさんの憎悪を抱えていただろう。
もし祐紀がいじめの黒幕を知っていたとしたら、その人物は絶対に殺される。
聞いた話によると、祐紀は自殺願望が出て来ていたらしい。
その時、犯人―――桃子を憎んで沼へ身を投げたとしたら。
血の凍るような予感に、章吾は人知れず身震いした。
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