駄文置き場
□軍師の午睡
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「で、その夢の内容とやらは?」
彼女には元々感情の起伏が少なく、話すときもあまり表情は変わらない。
だから疲れない。
シーフのキャットみたいに目まぐるしく変化する女は、俺はどうも苦手だ。
「聞きたいのか」
と聞くと
「軍師殿は完全な合理主義者。話したくもないことを、わざわざ話題にしたりしないだろう」
との返事。
俺には、教え子と呼べるのがもう一人いるが、そっちと違って、こっちの教え子は理解が早い。出来が良い。
自慢にはならんが、俺は理解が早い方だ。
一聞けば、大概のことは解る。
…まあ、頭の中を幻想とお伽の国のモンスターにかじられたお姫様の戯言だけは、かなり理解に時間を要するが…
だから、他人の理解が早いと、話が早くて助かるのだ。
「そのとおりだな…ま、つまらん話かもしれないから、飽きたら寝てくれて構わないぞ」
根が生真面目なのだろう。
俺が寝泊まりするとき使っている、薄汚れた毛布を持って、彼女は話の始まるのをじっと待っている。
こういうところは、もう一人のできの悪い教え子に似ていると思いながら、俺は昼にみた夢の話を始めた。