駄文置き場
□軍師の午睡
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それから何日かして、その妙な客の事なんか忘れかけてた夜の事さ…
俺はその晩、夜中まで星を見ていた。
そろそろ寝ようと思ったところで、教会で借りた本を忘れたことに気がついて、遅くに家を抜け出した。
教会は家から少し離れた場所にあって、子供の足だと20分くらいかかった。
しばらく探して、忘れた本を見つけた俺は、家に戻ろうと教会を出た…
その時、破裂するような音をさせて、火柱が上がった。
(火事だ!)
俺の心臓ははね上がった。火が出た方角は、うちがある方ったからな。
(うちのはずがない)
さっきまで、何ともなかったんだから。
そう思いながら、俺は駆け出してた。
(大丈夫…大丈夫だ…)
言い聞かせながら走って走って、やっと近くまでたどり着いた。
うちの周りに人だかりが出来てる。
俺はしばらく何も言えずに立ち尽くしてた。
「シゲン!!無事か!?」
近所のじいさんが、俺の肩をつかんで揺さぶった。
「じいちゃん…これ……」
俺は恐る恐る口を開いた。
じいさんは、難しい顔で人だかりの方を見て、言ったんだ。
「……お前の家が…燃えとる…」
って。