駄文置き場
□砂漠の銀月
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明くる朝
馬に跨りアバロン城を出立したジェシカは、一路テレルテバを目指した。
当時、テレルテバに直接通じる船がなかったため、メルーを目指す者は例外なく陸路を旅した。
ジェシカも、途中宿を取りながら、五日目の午後にテレルテバに到着した。
当面の目的である、砂漠の自警団への訪問と、現状の視察を終えると、村人に変わったことがないか聞き込みをして回った。
日が暮れようかという頃、ジェシカは満面の笑みをたたえていた。
「本当なの?」
彼女と話す少年は、鼻をこすりながら笑った。
「わかんないよ。でも、村の人間は昔から信じてるよ」
ジェシカは少年の肩を叩くと、次いで頭をなでた。
次の朝早く、ジェシカは馬を宿に預けたまま姿を消した。