詩人の詩

□組曲《皇帝》第一楽章
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帝国暦 1838年

雨の月

帝都アバロン



その名が示す通り、雨の多い季節に、花は露を含み、土は乾く間もない。

人々は、長雨を嘆くことなく、機織りや、竹や藁を編んだ籠を作って過ごしている。



アバロン城下町を北へ進むと、荘厳な王城が目の前に迫る。

バレンヌ帝都の中枢

アバロン本城である。



賢帝ジェラール以降、より有能な人間に能力と権力を受け渡してきた、この国の現在の統治者は、軽装歩兵出身の皇帝、フランクリン。

24代目の皇帝に当たる彼は、自室の窓から眼下の景色を見下ろしていた。
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