駄文置き場
□ジルフェ〜黒〜
1ページ/5ページ
「妹か、娘みたいだって」
素っ気なく呟いたそれは、声変わりする前の少年のようで、同年代の娘のそれに比べてやや低い。
快楽を訴える時には驚くほど可愛らしくなるくせに、常の彼女は尊大で、どちらかと言えば男のような言い方をする。
男である自分の方が、余程丁寧な言葉を使うくらいだ。
「ずっと一緒に居すぎたせいかな…それとも、私の立場が問題なのかな」
小娘のくせに、妙に薄紅い唇を微笑ませると、年齢にそぐわない艶めかしさが匂い立つ。
意思の弱い人間なら、眩惑の術にかけられたように彼女を求めるだろう。
「別にさ…」
漆塗りの、最上級の机に肘を付いて、行き場のない脚をゆらゆらと揺らす。
「だからどうだってわけじゃないんだけどさ…」
別に、彼らに恋い焦がれていたわけではない。
思いの丈を吐きだして、拒絶されたわけでもない。
「なんだろうね…もやもやするよ…」
少女は、鈍く光る銀の瞳を、わずかに細めて唇を噛んだ。