駄文置き場
□英雄ポロネーズ
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ボクオーン
あそこは儂にとって居心地のよい場所ではなかった。
儂らの故郷。今は忘れ去られたあの村は、儂には裏切りの村としか記憶できない。
人より多少の知識と魔力を持った儂を、英雄に祭り上げ、必要がなくなれば紙屑のように処分しようと目論んだ、臆病者ども。人の力を散々利用したあげくに、ついた呼び名は
《ずる賢いボクオーン》身勝手にも程がある。
それでも儂は既に老人。他の6人の若者たちに比べれば、諦めもつくし、期待もない。
哀れなのは、同朋を信じ、命まで懸けたあの若者たち。ことに我々の指導者となったあの生真面目な青年の失望は著しかった。
閉じ込められた異空間で、彼は呪いの言葉をはいた。ふるえる拳で何度も地面を叩いた。
後に、彼らは行き過ぎた力を手にするが、それも奴らに復習する為。
とめはせんよ。
それによって同族が滅びようとも、自ら撒いた種ではないか。
儂はそろそろ疲れた。
ステップに、遊びで造った地上戦艦に、皇帝達が乗り込んでくる。
なかなか頭の切れる男がいるようだ。こちらと同じ地上戦艦を用意して、陽動を企んでいる。
よかろう。乗ってやろう。こういう遊びは歓迎だ。
儂の最後の闘いも
《ずる賢いボクオーン》らしく闘ってやろうではないか。
奴らの薄汚い姿など無かったことにする。
それが、儂の復習だ。