駄文置き場

□黒鍵のエチュード
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アマゾネスのクリームヒルトが、熱帯のジャングル、サラマット地方から帝都アバロンに仮住まいして、半年がたつ。

クリームヒルトといえば勇猛果敢な女戦士で、戦場では槍を持って敵陣に切り込み、また、弓にも堪能で、後方からの支援により味方の窮地を救ったこともある。また、極端な男嫌いで、専ら女性にその嗜好があるというのが周囲の認識である。
その認識に違わず、彼女の男性に対する態度と女性へのそれは、天と地ほども違った。
女性には自らにこやかに、軽口を交えて話しかけるのに、男性に対しては、一応礼節は守るが、それだけである。愛想がない。

それほどまでに男嫌いな理由を、聞いてみた者もいたが、はぐらかして答えようとしない。
結局、それ以上追求するのも野暮だろうと、彼女以外の人間はその理由を知らずにいる。


そしてここに、彼女に最も目の敵にされている男がいた。
傭兵隊長ヘクターである。
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