DREAMU

□お前を守ってやれるくらいに
1ページ/1ページ


その話を聞いたときは、山本でもそんなことってあるんだ。などという驚きの方が大きかった。
「フラれた、って、まさか山本が?」
「ハハ、情けないけどなー」
「え、誰にって聞いても良い?」

そこで出てきた名前に、オレは再び驚かされる。
だって、彼女はオレでも分かるくらい明らかに、山本のことが好きだよ。

「んー。それはま、俺の自惚れだったってことなのな」
「そんなことないと思うけどなぁ」
「サンキュー。そーいやアイツ、何か変なこと言ってたんだよなー」

「私は強くないからムリ、だとさ」

「女子は強くねーと、誰かと付き合えねーんかな?」
「さぁ…」

でもオレは、ちょっとだけ彼女の言葉が分かるような気がした。
クラスどころか、学校中の人気者の彼女になるのは、障害も多いのかもしれない。
けれど、もし本当にそんな理由で山本がフラれたんだとしたら、何だかどっちも悲しいよなぁ。

「なぁツナ、俺思ったんだけど」
「うん」
「アイツが強くないからムリってんならな、俺がその分まで強くなりゃ、いーんじゃね?」
「そうだよ!山本なら絶対大丈夫だって!」

オレが山本の前向きさに感動していると、彼がふと首を傾げた。

「…けど、強くって何のことだろな?」
まさか誰かと戦うわけじゃねーだろーし、と呟く。
もちろんオレがそんな疑問の答えを知っているわけはないんだけど、ふいに浮かんだ言葉があったので、何気なく口に出してみた。

「分かんないけど、とりあえず…想いの強さで良いんじゃない?」

うわ、クっサ!やっばい、言うんじゃなかった!!
自分の台詞に大ダメージを受けているオレを、きょとん、と見下ろした山本は、一拍置いてから嬉しそうに笑ってくれた。
あぁ、やっぱり言って良かったかな。


Fin.

title×Liquid,N[山本武で5題]
20080805+0807
web clap:20080808-20081025


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ