DREAMT

□さぁ、ご一緒に応援団!
1ページ/1ページ

それは、特別な意図があったわけではなかった。
単に、私の彼氏たる獄寺隼人が、信愛して止まない『十代目』こと沢田綱吉より先に彼女を作った、という事実をちょこっと指摘してみただけ。まぁつまり、その彼女とは私のことなんだけど。
ただ、それに対する隼人の反応たるや、凄まじい勢いがあった。

「だあぁぁあぁぁっ!俺としたことがっ!十代目を差し置いて何たるご無礼をぉおおぉぉおっっっ!!」

訳の分からないことを叫んで悶絶している隼人は、傍目に眺めている分には大変面白い。
でも、やがて静かになったと思ったら、道の真ん中でふるふるとうずくまってしまったので、さすがに少し焦った。

「ちょ、隼人ぉ?」
「んだよ、うっせー!触んじゃねー!」

そっと肩に触れた手を、乱暴に振り払われる。
…うわぁ、早速ちょっと傷付きそう。

「ねぇ、大丈夫だってば〜」
「…何が」

出来るだけ軽い声で、へらっと言うと、隼人がゆっくり顔を上げた。

「だって私、隼人のこと手伝うし」

えへ、と首を傾げると、隼人が何のことだ?という顔をするので、言葉を重ねる。
だって私、ツナのことも結構好きなのだ。
変な意味じゃなく彼は、隼人の大事な友達だし、私にも優しいし、何より隼人と私が少しでも多く一緒にいられるように気を使ってくれるし。

「ツナの応援でしょ?一緒にしよ?」
「…な、」

瞬間、ものすごく嬉しそうな顔をされたので、わ、と喜んだ途端、勢い良く顔を背けられた。
…うわぁ、再び傷付きそう。てか、もう傷付いてるかも。

「…あのさぁ」
「あ、あぁ?」

どことなく、隼人の声が上擦っている。
何に動揺しているのか、きちんと説明して欲しいところだけど、生憎今は、自分の方が大事だ。

「その反応、ちょっと傷付きそうなんだけど」
「…は?」

てか傷付く、と続けるつもりだったけれど、あえて飲み込んだのは彼女の愛情である。(あ、これ笑うトコ)
ぐるぐるぐる、と彼の思考が渦巻いているのが見て取れた。
さすがに思い当たる節があったらしく、やがて隼人が綺麗な顔を歪めて、バツの悪そうな顔をする。

「あー、悪ィ」
「…すごいねぇ」
「は?」
「あ、うぅん、こっちの話」

きちんと謝れるのは、見掛けによらず、素直な良い子だということだ。
うーん、私って見る目あったんだなぁ、と思わず自画自賛したくなる。
まったく可愛い奴め、と思ったけど、そんなこと言うと思いっきりキレられるのは目に見えているので、黙っておいた。

「で?」
「え、で?何?」

隼人が眉間に皺を寄せて、言葉を探すように少し詰まる。

「具体的には、どうすんだよ」
「何が?」

彼の言葉には、主語がない。
私がきょとん、と見返すと隼人がイラっと上を向いた。あ、叫ぶぞ。

「だーッ!てめ、十代目の応援するっつったろーが!!」
「あぁ、はいはい、言ったよ」
「はいは1回だ馬鹿!」
「はーい」

ちょっとやそっとじゃ全く動じない私に、隼人は荒い息をつく。
うーん、でもなぁ。応援ったって、具体案も何もないしなぁ。

「まぁ、とりあえず」
「んあ?」
「ツナんとこ行って、じっくり話でも聞いてみよっか」

恋愛相談、とゆーやつ。
人生相談は面倒だけど、話が恋愛に限るなら、女の子はいつだって大歓迎なのだよ。
すると隼人も、今度こそ、ぱぁっと顔を明るくした。

「…そんなに十代目んトコ行くのが嬉しい?」
「は、たりめーだっつの」

馬鹿にしたように鼻を鳴らして、ふいっと沢田邸へ身体を向ける。
でも、こんなことで私は今更傷付いたりしない。

「おら、早くしやがれ」
「はーい」

さっきのやり取りをちゃんと覚えていた私は、素直に1回だけ返事をする。
それに満足そうな笑みを浮かべた隼人に、えへへ、と笑い返すと、また視線を逸らされた。
けれど今のは、理由が分かる。

「やだ隼人、照れてんの?」
「うっせ、んなわけあるか!」
「あはは、素直じゃないんだから〜」

ツナの家までの道程を、調子を合わせてのんびり歩く。
歩調を合わせるのは簡単だ。
早くしろ、と振り向きざまに差し出された手を、するりと通り越した私が、彼に腕を絡めて歩いているのだから。
怒ったような顔をしても、振り解かれないのは、照れているだけなんだということは、最近私が学んだことのひとつである。


Fin.

獄寺と一緒に、ツナの応援が出来たら楽しいだろうな、と思って。絶対ウザい2人になりそうだけど(笑)
てかこれ、名前変換なかった…隼人はなかなか名前呼んでくれないんだもん。←

20080901-0902/we love JU-DAIME!


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ