03 指に絡んだ雲(雲雀)
「ねぇ、雲雀さん」
「何?」
「この手はなんですか?」

私の右手の指と雲雀さんの左手の指が絡み合って短い影を落としている。
俗に言う「恋人繋ぎ」ってやつだ。
しかも彼は紳士的にも車道側を歩いてくれて、歩調まで合わせてくれている。
あの、雲雀さんがだ。

「それは見ればわかるでしょ。君、そんなこともわからなくなったの」
「いや、そういうのを問うているのではなくて、どうして手を繋いでいるのかなって…」

察しろと言わんばかりにじろりと睨まれた。
そうだよね、そうですよね。
いつもの気まぐれですよね。
その辺はいつも通りですね。

「君、熱があるからこんな時間に帰るんでしょ」
「違うかもしれないですよ?」
「保健室にいた子に聞いたからね間違いないでしょ」
「…それが、どうしたんですか?」

ちょっと攻撃的になってしまったかもしれない。
熱があってイライラしているのと、人恋しいのでいっぱいいっぱい。
隣にいるのが雲雀さんだし甘えられないって言うのが1番大きいけど。
少し、くっついてみようかな?
聞かれたら今日は寒いからって言えばいいし…。

「どうしたの?」
「いや、今日は寒いので少しくっついていたいなと思って」
「さっきと言ってること逆じゃない。人肌が恋しいなら――」

―― 僕の所にいつでもおいで

そういって、雲雀さんは私の背中を人差し指でなぞった。






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