セイナー伝戦記

□選ばれし者
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2話 選ばれし者



彼方は光に包まれた。



神殿の周りを警備していた、一つの部隊があった。
その部隊の隊長―緑矢蓮(りょくや はす)。30歳ぐらいの男である。
「こ・・・この光はっ・・・・皆の者っ!神殿の中にっ!!」
「はっ!!」
蓮たちの部隊は、神殿の中へ向かった。


「な・・・なんだぁ〜」
光は消え、彼方の手には剣があった。
「いたぞっ!!」
出口の方から何人かの声が聞えた。
「わぁっ!!こ・・・こここれどうしようっっ」
彼方は剣を持ちながら慌てる。
すると部屋に何人かの人が入ってきた。その中に蓮がいた。
「そっ・・・その剣をっ・・・・・!」
「あっ・・・い・・いや・・そ・・その・・こここれはぁぁ・・その・・えっっっと・・・・・・」
「【選ばれし者】っっ!」
「え?」
「貴方様はその剣を抜きなさった。それは【選ばれし者】の証拠ですっ!」
「え?だってこれ・・・・・・あ・・・貴方たちも抜けるんじゃないの?」
「【選ばれし者】だけが抜ける剣です。」
「そ・・・そんな・・・僕は・・・ただ・・・」
「王に会っていただきます。ついてきて下さい。」
「は・・・はい・・・」
『ここは、従った方がいいよねぇ・・・・・』



一方、隆香は・・・
彼方と同じように神殿の前に飛ばされていた。
違うのは、彼方は武道国の神殿で、隆香は魔道国の神殿であった。
そして隆香は杖を抜いた。
彼方と同じように光に包まれた。
「なんなの?この杖・・・」
「貴方様は・・・」
一人の女が隆香の下へやって来た。
「す・・・すみませんっっ!!」
「謝る事はありません。貴方様は【選ばれし者】なのです。」
「え・・・【選ばれし者】?」
「はい。まず、状況説明などを含め、女王に会っていただきたいと思うのですが・・・」
「あっ・・・・・・はい。会います。」
「ありがとうございます。では、こちらに・・・」
「あの・・・・・・一つ・・・聞いていいですか?」
「なんですか?」
「貴方は?」
「アユナ・ヒコナと申します。」
「よろしくお願いします。」
「では・・・」
「はい。」
『彼方・・・どこにいるの・・・・・?』
隆香はアユナの後ろを歩きながら、どこかにいる彼方のことを考えた。



「王。【選ばれし者】を連れてきました。」
「ご苦労。蓮。」
「はっ!では、私はこれで・・・」
「いや、蓮。おぬしはここにいろ。」
「はっ!」
彼方と蓮の前には、一人の男がいた。
富凪亜嵐(とみなぎ あらん)。彼方が飛ばされた国――武道国の王である。
「【選ばれし者】・・・そなたの名は?」
「波崎彼方です。」
「彼方殿か。」
「あの・・・ここは一体どこですか?」
「ここは武道国の城じゃ。」
「ぶ・・・・・武道国?」
「武道国を知らないんですか?彼方様?」
蓮が彼方に訪ねる。
「は・・はい・・・ぼ・・・・・僕がいたのは・・・・・日本です・・・」
「に・・・・・・・日本っ!?」
「え?ここ・・・・日本ですよね?」
「違うのう・・・」
「じゃぁ・・・・一体・・・・?」
「日本と次元が違う星じゃ・・・」
「えっ!!・・な・・・なんで!?」
「彼方殿は【選ばれし者】・・・【選ばれし者】は、もう一つの次元にある地球から来るという。・・・それは100年に一度と・・・・・・」
「えっ・・・・・・・・・でもなんで僕が・・・?」
「地球から来るものは、元々こちらの世界で生まれる予定だったモノ。だが、何らかの出来事で、地球に生まれてしまうことが100年に一度・・・」
「それが・・・・・・僕?」
「そうです。だが、地球から来た者が全員【選ばれし者】という訳でもない。」
「じゃぁ・・・・・なんで僕が【選ばれし者】・・・・?」
「それはよくわからない。だが言えることは、そなたが特別な力を持っている。という事だ。だから、その剣を抜くことができた。その剣は、特別な力を持つ【選ばれし者】にしか抜けない。そして【選ばれし者】にしか使えない。彼方殿はこの剣を抜いた。つまり、【選ばれし者】という証拠なのだ。」
「えっ・・・・・・じゃぁ・・・これから僕はどうすれば・・・・・・?」
「我々は、魔道国と敵対関係である。そして現在は魔道国と戦争をしている。彼方殿には英雄として、その戦争に参加していただく。」
「せ・・・戦争!?」
「その通りだ。彼方殿の親衛長として、この男・・・緑矢蓮を付ける。」
「はっ!彼方様。どうぞよろしくお願いします。」
「あ・・・・はい・・・お願いします・・・・」
「あと・・・・・・・・・出て来い。ランリンっ!」
「はぁーいぃーなんですかぁ〜王ぅ〜?」
突然。手のひら位の妖精が現れた。
「この【選ばれし者】。波崎彼方殿につきなさい。」
「はぁ〜いぃっ!・・・・・・おうっ!蓮ぅじゃないかぁ!!」
「お久しぶり。ランリン。」
「お前が【選ばれし者】かぁ・・・私はランリンよろしくなぁ!!彼方っ!」
「よろしく・・・」
『なんだ〜この妖精!?』
突然現れた妖精――ランリンのハイテンションに驚く彼方。



「せ・・・・・・戦争に参加?」
「はい。そうです。」
「え・・・・・でも・・私・・・・・・戦いなんて・・・」
「大丈夫です。その【光の杖】を抜いた貴方様なら、魔法もすぐ使えますわ。」
隆香に声をかけていたのは、魔道国の女王――クラヌ・リー・シューラーであった。
「ですが・・・」
「大丈夫です。すぐ慣れますわ。そう言えば、まだ名を聞いてませんでしたね。」
「実鈴・・・・・・・・――――――――っ・・・いえ、リューカ・ミュレイです。」
「リューカ・ミュレイ。いい名ですね。」
『なんで私・・・今。昔、お母さんが言っていた名前を言ったんだろ・・・・・・・もしかして、これがこっちの世界で生まれる予定だった。という事に関係してるのかしら・・・』
「では・・・・・アユナ・ヒコナ。貴方にリューカの親衛長を命じます。」
「はい。しかとその命、務めさせていただきます。」
そして、隆香の方を向き、
「よろしくお願いします。リューカ様。」
「はい。」
「フィラン。」
クラヌは誰かを呼んだ。
「はい!」
「貴方はこれから、リューカ・ミュレイにつきなさい。」
「はい!フィランです!よろしくです!」
「あ・・・よ・・・よろしく・・・」
隆香の前にも小さな妖精が現れたのだった。



「導くまでは、2つの国の戦乱が大きくなりますわね・・・」
「ああ・・・・・・・・・・ここは二人に任せるつもりだ。」
「そうですね。二人なら安心ですわ・・・」
ある国の王と王妃が話していた。
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