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□その関係を、家族というはずだ。
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ざぁ、ざぁ、ざぁ、
「雨が降ってるね。」
「うム。そうだな。」
ざぁ、ざぁ、ざぁ、
「お父さん、大丈夫かな?傘もってないし。」
「あいつは大丈夫だろう。……いや、そういえば、あいつは昔ひどい風邪で入院したことがあったな。」
「え〜、なに、それ?聞きたい!」
「ああ、いいだろう。あれは……」
ざあ、ざあ、ざあ、
「……ねぇ、御剣さん。」
「……なんだろうか。」
ざあ、ざあ、ざあ、
「どれくらい、日本にいられるの?」
「ああ……そうだな。1ヶ月ぐらいだ。」
「そっか。」
「……どうしたのだ、急に。」
ざあ、ざあ、ざあ、
「また、お父さんが嬉しそうになるな、って。御剣さんがいない時、少し寂しそう。お父さんが嬉しいと、みぬきも嬉しい。」
「……そうか。」
「あとね、御剣さんも嬉しそう。みぬき、お父さんも御剣さんも大好き。だから、だから、」
「…………そうか。」
ざあ、ざあ、ざあ、
「……もう、帰るとしよう。」
「帰っちゃうの?」
「すまない、仕事が入っているのだ。」
「みぬき、お仕事が嫌い。やっと御剣さんが来てくれたのに、取っていっちゃう。」
「……みぬきクン。仕事はあまりないはずだ。だから、すぐ帰って来れるだろう。それに、一回家に帰って服を取ってくる。今日はみぬきクンの家に泊まらせてくれないだろうか。」
「ほんと?いいよ!お父さんにも言っておくね!ありがとう、みぬき、嬉しい!」
「そうか。みぬきクンが嬉しいと私も嬉しい。すぐ帰ってくるからな。……では、行ってくる。」
「いってらっしゃい!」
バタン。
ざあ、ざあ、ざあ、
ざあ、ざあ、ざあ、