PRESENT STORYU

□狂気を生み出す、俺という存在
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アルは、時々自分を見失うことがある。
記憶には残らない。
いつもは、普通にしているけれど
時々おかしくなるんだ。

それはきっと…
苦しんだ結果に生み出した、アルの弱い部分の塊…―――








狂気を生み出す、俺という存在






「ねぇ、兄さん…?見てよ、この身体…冷たくて、硬くて…とても人間のものじゃないよね…」
「…アル…」
今宵も、またアルはおかしくなった。
たまに。
極たまにだけど、こうやって…アルはおかしくなる。
狂気染みた声で。
低く唸るような声で
俺を責めるように、話しかけてくる。
でも、これはアルの記憶には残らない。
次の朝にはけろっとして、俺に笑いかけてくる。
それが、余計…辛い。
「ねぇ、見てよ。触ってよ…冷たいだろ?」
「…っ、アル…そんなこと…」
「ないって?嘘ばっか」
アルは苦笑しながら、俺の身体にそっと触れた。
「冷たいんでしょう?硬いでしょう?兄さんの暖かさなんか、判らない。」
アルは俺の腕をぐっと掴んだ。
「っ…!」
「痛い?痛いんだ…いいな、痛いって感じられて」
そのまま力をこめて、俺の腕を…壊しそうな勢いで、俺を壁にたたきつけた。
「っぐ!」
背中に痛みが走って、脳天まで突き上げた。
でも、こんなの…
こいつの心の痛みに比べたら、全然ましなんだ。
「アル…泣くなよ…お前は、ちゃんと…俺が、元に戻してやっから…」
「泣く?この僕が?涙なんてありはしないよ」
俺の言葉を否定して
俺の腕を俺の頭の上で纏めた。
「それに、元に戻すって…僕を?どうやって…?もう、4年も経っているのに…?」
嘲るように笑いながら、アルは俺の腕を纏める手に力をこめる。
「いっ…痛っ」
「僕は本当に人間だと思う?ねぇ、兄さん…こんな身体で、まだ人間だと…貴方は思うの?」
俺の服をぐっと片手で掴み、そのまま引き千切る。
露わになったのは、俺の肌。
そこには、色々な傷が見える。
それは…
過去何度かアルによってつけられた傷。
でも、別にそれは痛くないんだ。
アルが俺を折檻するのは…
別に、構わない。
でも。
アルは、俺を折檻するだけじゃ治まらない。
俺を…
「ま、まてっ…やめ…っ」
「なにを?鎧に犯されるのは嫌?」
そうだ。
俺を犯すんだ。
その指で。
その言葉で…
俺の身体を。





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