○Short2○

□貴方に知られない涙
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「あんたマジうざい」

「どっか消えてくんない?」




またですか。

とうっかり声に出しそうになり開きかけた口をきゅっと閉じた。
ここは校舎裏。
こんなとこに呼び出されたあたしは現在聞いての通りリンチされてまーす。
何で平気かって?
よくぞ聞いてくれました。





今月コレで10回目なんだよ。


わぁーフタケタ突入だ☆



「いい?あんたみたいなどこにでもいる一般庶民が跡部様の隣なんて歩いていいと思ってんの?」

「身の程を知りなさいよ!」

「はぁ…」

「なにその態度!マジむかつくー」





だって否定できないし。どこにでもいる一般庶民ですが何か?それにどーせあんた達はあたしがどんな態度とったってむかつくんでしょーが。そもそもあたしは跡部の隣を歩いた記憶はないのですが。向こうが勝手に歩いてんだよ!




早く終わってくんないかなー…




「大体あんた、どーやって跡部様を落としたわけ?」

「っ?!」



いやいや何の話ですかそれ!むしろからかわれてるだけですよおそらく!
…でもなんであいつどこからともなくやって来てあたしの隣歩いてるんですかね?あたしのことが好きなんですかね?あ、すみません調子のりました。




いや、もともと前から格好良いとは思ってたけど見てるだけでお腹いっぱいだったのにさ!
ヘタに近付かれたから、あたしだって好きになっちゃったじゃん…。











「オイ、何してんだお前達?アーン?」


「「「あ、跡部様っ!」」」





うげ、出たよ俺様。





「お前等、俺様の趣味が悪いって言いたいのか?」


「そ、そんなっ!」
「あたくしたちは…」


「女に手荒な真似はしたくねぇ。


国外に追放されたくなかったらさっさと失せろメス猫共が!




きゃー。こいつ本気でしそうだから怖ぇ!



パタパタとお嬢様方は去っていった。



ちょ、こいつと2人っきりになっちゃうじゃんか!……あたしも行こ。


「助けてくれてありがとう跡部くん。んじゃ!」


言うだけ言って(それも棒読みで早口)くるっと跡部が来た方向に背を向け歩きだそうとした瞬間、

「待て」


肩掴まれて足止めされた。



「いやあたし犬じゃないんで。待てとか言われても待つか」


そのまま歩こうとしたが肩に加わった力は思ったより強く、動けない。


「…離して」

「断る」


「っ…いい加減にしてよ!迷惑なの!大体あんたがあたしに近づかなきゃいいだけでしょ?!」



うそ。こんなこと思ってないのに。でも付き合ってもいない今でさえ色々言われるし。釣り合わないことなんか分かり切ってるから。



「何であたしにかまうの?あたしは…」
「好きなんだよ」

「…っは?!」

「理由なんざ好きだからに決まってんじゃねーか。察しろよ」


「あ、あたしのどこが?!」


「気付いたら、だ」




告白、された。
女の子なら誰もが夢見る好きな人からの告白。

…嬉しい、けど。



あたしも、と言いかけて口が止まった。




「…あたしは、嫌い」


どんなに好きでも、この恋に未来なんかない。身分が違う。住む世界が違う。
そう自分に言い聞かせた。




「…そうかよ」



ふっと掴まれていた肩から圧力が消えた。
思わず振り返ると、跡部はあたしとは反対方向に歩きだしていた。



「今まで悪かったな。もう関わらねぇよ」






距離が離れていく。
一歩、また一歩と。
その動作がやけにスローモーションに見えたけど、引き止めることなどできなかった。
跡部は角を曲がってあたしからはもう見えなくなった。
気付けば鼻の奥がツンとして、視界が歪んで。
あ、あたし泣くのかな。と思った刹那、眼から涙が零れ、頬を伝い、顎へと流れ、地面に落ちていった。





貴方に知られない涙

(だって、じゃあどうしたらよかったの)
















あとがきー


続きます。初の続き物です。でも続きが思い浮かばない…orz
切ない系は死ねたかロミジュリ的なものしか思い浮かばない…orz
あ、ロミジュリも最終的には死ねたか。


続編まで気長に(強調)待ってくれると嬉しいです。


20091119

 

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