下を見るとどういうことか…
自分の他にもぞろぞろと罪人達がこの絹のように細い糸を登ってくるではないか!?
「止めろ!!貴様らなどが登ってくるとは何事か!
これは俺の為の糸なのだ!!散々天に許しを乞うた俺の為のだ!!」
その抗議の声が終わると同時に糸にしがみついていた罪人の体が宙に舞い、再び奈落の底に吸い込まれて行くのが分かった。
「あぁ…俺はもう天には許して貰えないのか…」
そう嘆く罪人の涙だけが何時までも宙に舞っていた…
「やぁ、釣れてるかね?」
「それが聞いてくれよ。ついさっき何十匹も何百匹もの群れが食い付いたんだよ」
「それは凄いなぁ…して、その群れを釣り上げたのかい?」
「それがなぁ…一番上に食い付いた奴がまるで下の奴らを蹴落とすかのように暴れてしまって、ついには糸が切れちまったんだよ。
全く余計なことをしてくれたものだよ」
「なんだ…今日こそは新鮮な人間が食えると思ったのに」
とある鬼の会話。
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