Harry Potter
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放課後、セブルスは図書室に向かっていた。リリーと勉強をする前に予習するつもりだった。
「やあ、スニベルス」
穏やかに、しかし小馬鹿にするような声。
「!ポッター…そこを退け」
ニヤニヤと笑みを浮かべるポッターをひと睨みしその横を通り抜けようとした。
「テメェに指図されたくねぇなあ」
その声と共に喉元に突きつけられる杖。
「ブラックっ…」
セブルスは進むこともままならず、後退を余儀なくされる。
視線を巡らせれば、ポッターとブラックの後ろにはルーピンとペティグリューの姿、忌々しい悪戯仕掛人に捕まってしまったのだった。
そしてやれやれと言うようにポッターは口を開いた。
「まったくスニベルスは性懲りもなく僕のリリーにまたつきまとっていたね」
その瞬間、セブルスの腹部に衝撃が走った。
「ぐっっ!!」
ブラックの無言呪文の様だった。セブルスは尻餅をつく。
慌ててセブルスも杖を取りだし、視線を悪戯仕掛人に遣れば、ポッターも杖を構えていた。
「スリザリンは地下に籠っていればいいんだよ、こんな目に遭うんだからさ」
「はっ!いい様だなあ、スニベルス」
突然受けた衝撃のせいか体勢を崩したままのセブルス。
《おやおや、これはいわゆるイジメってやつかい》
場違いな陽気な声。─ナナシだ。
一瞬ナナシの声に反応するもセブルスはポッターらに呪文を唱える。しかし防御呪文によって跳ね返されてしまう。
《分が悪いねえ、セブルス。あの石像を狙ってごらん》
ナナシが示す先には、ポッターらの傍にある大きな騎士の石像。
視界の端で確認したセブルスは、呪文を唱えた!
「コンフリンゴ!!」
セブルスが唱えると、石像は爆発し、ポッターらに瓦礫が降り注いだ。
してやったりと口許を緩めた瞬間、
「ディフィンド!!」
切り裂かれるセブルスはその場に倒れた。
そうしているうちに大きな爆発音を聞き付けた生徒達が集まってきた。
「っ!セブルス!!大丈夫なのっ?!」
あつまる生徒の中から赤い髪が声をあげた。
リリーは人垣をかきわけ、セブルスに駆け寄った。
「っ、リリー…大丈夫だ」
心配そうにエメラルドがセブルスを窺う。労るようにセブルスの身体に手を添える。
「酷い傷だわ…すぐマダム・ポンフリーの所へ行きましょう」
そう言うリリー。ばつが悪そうにリリーから視線を反らすセブルス。
「セブ「リリーっ!!」
声を遮ったポッターは、瓦礫をあっという間に消してリリーに駆け寄ってくる。ポッターに続く、ブラックたちはちらりとセブルスを見遣るも飄々とポッターとリリーの輪に加わった。
「あんたに何か用はないの!近づかないでっ!!」
「リリーは恥ずかしがりやだなあ、そんな君も僕は心から愛しているよ!」
「私はあんたが大嫌いよ!私にもセブにも、関わらないで!!!」
リリーは睨み付けながらそう言うと、セブルスの手を取りその場を後にした。
離れて行くリリーの後ろ姿。そしてリリーに手を繋がれたセブルスをポッターは嫉妬の炎を燃やす瞳で睨み付けていた。
騒ぎを聞きつけたフィルチがやってくる頃には、当事者たちは既に居らず、忌々しげに辺りを睨み付けていた。しかし彼の愛猫ミセス・ノリスだけはセブルス達が行った先をじっと見つめていた。