Harry Potter
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セブルスは心配するリリーを何とか説き伏せて、自室へ戻ってきた。
「っ…くそっ!!やつら…っ」
手当てをしながら悪態をつくセブルス。傷だらけで戻ってきたセブルスを見てルームメイトは一言二言声をかけて部屋を後にしていた。
部屋にはセブルスと、ナナシ。
「あの様子じゃ、日常的にやられてるんだねえ」
「煩いっ!!」
「それにしてもあの子ら、タチが悪い。ああいうのは好かないんだ。まあ好くやつなんて碌なもんじゃないだろうがね」
「っ!!黙れと言っているんだ!!ナナシ!!」
怒るセブルスをよそに話続けるナナシはふう、と一息ついたのち少し真面目くさった風に話した。
「神様に認められた君に手をだすなんて罰当たりな奴らだねえ、天罰をくだそうと思うんだけどどうだろう?その為にも私と正式に契約しないかい?セブルスの魔力を分けてもらえば済むんだよ」
魔力を杖で、私の本に飛ばせば済む。そう言ってちらりとセブルスを見遣ると、傷の手当てを終えてベッドの上で腕組をしている。
一瞬何か考えたのち
「ふん、天罰でも何でも、やれるものならやってみろ」
と杖を振りながら言い捨てた。
魔力を受けたナナシは、その場で一回りするとニヤリと笑ってセブルスに手を差し出した。
「ありがとう、セブルス。改めて宜しく」
セブルスは訝しげにナナシの手を取った。
「?!」
「驚いたかい?ふふ、セブルスに触れることが出来るようになったのさ!それだけじゃない」
驚くセブルスをよそに手を離したナナシは何処からともなく杖を取りだし、呪文を唱えた。
「エイビス」
小鳥が現れ、セブルスの肩に止まる。
「エバネスコ」
ナナシ が再び呪文を唱えると、小鳥は一瞬で消え去った。
ナナシは恭しく一礼すると、セブルスに笑いかけた。
「ま、魔法が使えたのか…」
「セブルスの魔力を分けてもらったからねえ」
呆けていたセブルスはふるふると頭を振った。
「仮契約とは比べ物にならない程の加護を楽しみにしているんだよ、セブルス」
楽しげに笑みを浮かべたナナシはそう言って姿を消した。
(…加護…あいつは本当に神なのかもしれない)