Harry Potter
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「こんばんはセブルス」
「…ナナシか」
「いままで試験お疲れ様。明日で終わりでしょう?」
そっと教科書を閉じながら頷くセブルス。
「あー邪魔するつもりじゃなかったんだけど…」
「いや、いい。一段落したところだ」
「そう。なら、よかった」
ニコニコ笑うナナシは部屋をくるりと見回す。
「他の人は談話室とか?」
「ああ。分かって話しかけていたんだろう」
片眉を上げて笑うセブルスにニヤリと笑って返すナナシ。その時机に隅に重ねられた本が闇の魔術に関するものばかりな事に気付いた。
「?ナナシ…」
「セブルス…私はセブルスの思いが成就するよう助けてきたつもり。だけど、リリーの気持ちを…理解しようとしないなら私がいくら助けても…」
ナナシの視線の先に気付いたセブルスは表情を凍らせた。
「…お前には関係ない事だ」
セブルスの言葉に怯むことなくナナシは続けた。
「っ神様に……そんな口をきくなんて罰当たりだねえ…だとしても、セブルスとリリーを見ていて気付いたよ。リリーは望んでいない。断言できる」
「僕は…僕には力が必要だ。何者にも屈しない負けない力が。力があれば……彼女を守ることだってできる。………リリーを」
「…セブルス…」
ナナシが呼ぶ声も空しく、セブルスは部屋を出ていってしまった。
ナナシはセブルスの座っていた椅子の背をそっと撫でると、瞳を閉じて消えた。
閉じた扉の外側にいたセブルスも、眉を潜めきつく瞳を閉じた。
そして、翌朝ふくろう試験最終日を向かえる。
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