Harry Potter

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14年後──


長い長い螺旋階段を登りきる。夜が明けようとしていた。

扉はギイと音を立てた。
目の前に大きな窓、そして迎える朝のグラデーションは徐々にその部屋にぽつんと置かれたベッドを照らした。

セブルスは、ベッドに近づくと枕元に置かれた、一冊の本の表紙を撫でた。それから視線を横に動かすと、その先には別れた時より少し幼さの抜けたタナナシが静かに横たわっていた。


しばらくナナシを見つめていたセブルスはベッドに腰掛け、ナナシの上半身をそっと起こすと、手にしていたゴブレットに口をつけ、傾けた。
朝日がちょうど昇る。


二人の唇が重なった。


セブルスが顔をあげる時、ナナシの喉元が動き、小さく息を漏らした。


セブルスはナナシの唇を、親指で優しくて拭う。
その時だった。

ナナシの唇が動く。
「まず、い」

「良薬とは、苦いもの、だ」
「そう、だね」


溢れる涙はそのままにセブルスはナナシを抱き締めた。

ナナシは痛いほどの締め付けに、震えるセブルスの身体に、これは夢なんかじゃないのだ、と涙した。


暫くして、セブルスはそっとナナシを離す。未だ涙の後の残る頬に唇を寄せる。

「せ、セブルス」

赤く染まる頬、困った様に自分を呼ぶナナシの声

「…ここはお前とそして私の現在だ。未来は現在となった」

「い、ま…未来…」

「ナナシ、生きよう現在を」


再び、重なる唇にナナシは目を見開く。啄むキスの雨の後、自分と同じ味のセブルスを知り、そっと瞼を閉じた。




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