その他

□好き、嫌い、好き
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「ほらよ。」

差し出された袋を開けるとそこに入っていたのは『雪見だいふく』。しかも5つ全部。

「…何でコレばっかり、」

雪見にアイスを頼むと必ずソレを買ってくるのだが、まさか5人分全部雪見だいふくだとは誰も思っていなかった。

「それしかなかったんだよ。文句あるなら自分で買ってこい。」

面倒くさそうに袋からアイスを取り出して二口で食べ終わるとパソコンに向かって仕事を始めた。
4人は自分のアイスを微妙な顔で食べ始める。

「雷光さん…流石に僕、飽きてきました…」

「私もだよ俄雨。全く雪見センパイは…シャレのつもりなら全然面白くないし迷惑だよね。」

「雷光てめぇ聞こえてるの分かってるよな。分かってるんだよなぁ?」

雪見は机の上で拳をふるわせている。
雷光はそれを見下すような目で見ていった。

「当たり前でしょう。私雪見センパイのこと大嫌いなんです。」

「あ、俺も雪見さんのこと好きじゃない。」

壬晴もアイスを食べながら言う。
雪見は軽く溜め息を吐いて、壬晴の隣でアイスを食べている宵風に目を向ける。

「お前は?」

「…僕は、別に雪見のこと、嫌いじゃない」

「…」
「…」

宵風がそう言うと、雪見は嬉しいけど照れくさいから誤魔化しているという表情で宵風の頭をくしゃくしゃと撫で、表の仕事に戻った。
壬晴と雷光はその光景を見て静まり返り、雪見だいふくをブスブス刺しながら、いつもいつも独り占めして…、と呟いた。
結局は宵風を独り占めする雪見が恨めしいということか。
俄雨は何も言わず、最後の一口を口の中へと放り込んだ。



(揃いも揃って宵風クン馬鹿だとは…僕はこんなとこでよくやっていけてるな)






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