その他版権
□Can Look
6ページ/9ページ
一揆を起こしていた農民たちは、各村々へ帰っていった。
「始めからこうするおつもりだったのですね」
政宗たちも屋敷へ帰るために移動を開始する。
雪がまた降り始めた。
「ああ。あいつらに罪はねぇからな」
小十郎の問い掛けに政宗は、ばつが悪そうに答えた。
「でしたら、私にもお教えくださればよいものを」
片眉を吊り上げて呟く。
だが、政宗はそれを鼻で笑った。
「お前は素直すぎるからな。闘う気がねぇと敵に知れれば、足元をすくわれかねないだろ?」
言葉が、途中から絶え絶えになり始めた。
「政宗様?」
異変に気付いた小十郎がそちらを見れば、片目を押さえて顔を伏せている。
「やはり先程の傷が」
小十郎の口を政宗は塞いだ。
何も知らない部下たちに負傷を知られたくないのだ。
「言うな小十郎。大丈夫だ」
政宗は立ち止まった。
何事かと振り返る部下たちへ「先に行っていろ」と声を掛ける。
政宗と小十郎だけがその場に残された。
「ただ傷口が開いちまっただけだ。すぐ止まる」
しかし、そう言っている間にも血が滴り落ちる。
平気なわけがないのだ。
小十郎が表情は曇った。