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□運命を変えし傷
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痘瘡は別名、天然痘と呼ばれる伝染病である。
感染性が強く、死亡率も高い、危険な病なのだ。
しかし、政宗は奇跡的にも死ぬことはなかった。
いや、死ぬことはできなかった。
熱は引いたが、感染した右眼は大きく腫れ上がり、見た者全てに恐怖と嫌悪の情を抱かせた。
それは、母である義姫も同じであった。
「ああ。なんて醜い子なんでしょう。あんな姿の者が次期当主など考えられませぬ」
半狂乱に陥っている義姫は、紙を振り乱しながら訴えた。
「浮世に伝わったならば、これは伊達家末代までの恥となりましょうぞ」
おいおいと涙を流す義姫を、政宗は襖の影から見詰めていた。
そして、その数年後。
政宗の弟となる小次郎が生まれた。