学校ではクラウチングスタート

□long call
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.long call.


泣き腫らした目を伏せて、保健室で休ませてもらおうと来てみたものの
保健のお市先生が不在でしぶしぶ教室に戻ることに


あの後、私を腕から解放した佐助の言葉を聞く前に少し小走りで階段を駆け下りていて
結局、嫌とも言えず
先生への答えも見えないまま

教室に戻ると机に突っ伏して、残りの5・6時間目なんて聞かずに意識を飛ばした


人の心を読める機械があるのなら、誰か私の心を読んで欲しい
この弱い醜い私の心を解いて欲しい

私じゃ分からない


*   *   *


明日、明日の昼には半兵衛が出張から帰ってくるんだ
少し前までは幸せで堪らなかった半兵衛との時間
今では想像するだけで胸が苦しくなる

こんな私だったら
幸せを幸せって呼べないまま
悲しみを悲しみって呼べないまま
強くならなきゃって
いくら思ったって、盾を構える前に一度入り込んでしまったウイルスが中をえぐってくるの

「………寝よ」

布団を被って直ぐ夢の世界へ飛べたらいいのに
周りが見えない、自分勝手な世界に行けたらいいのに













――――ブブブブブッ


寝ようと潜り込んだ布団からもそもそと手を伸ばし、震える携帯を手に取る
バイブの時間が長いからきっと電話、
開いた携帯から明かりが漏れて目を細めた

着信
竹中半兵衛

あぁ、やっぱり
あんな内容話して、あんな切り方したら不自然に感じるのは当たり前だ
でもこの電話には出れないよ

震え続けるをパタンと閉じて胸に抱く
どうか早く諦めて、と


「ごめんなさい……」








end








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