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□寝
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心地良い疲労感と人肌の温かさに、意識の半分は既に夢の中だった。俺が意識を放り出す準備はとっくに出来ているのに対し、腕の中のこの人は全く寝る気配がない。

「三成様…。寝ないんっスか?」

自分の眠気を我慢して、俺は三成様を寝かしつけようと赤子を扱うように三成様の背中を数回ゆるく叩いてやる。そんな俺を見かねて、三成様が口を開いた。

「私の寝付きの悪さは知っているだろう。気にせずさっさと寝ろ」

「と言われましても…」

恋仲であると同時に従者でもある以上、どうにも自分だけ眠るのは気が引けてしまう。どうにかして三成様にも寝てもらいたいが、そんな俺の考えとは裏腹に、三成様は眠気など微塵にも感じさせない冴えた目をしていた。仕方なく俺は布団の中で思い切り体を伸ばして眠気をぬぐい去る。

「んー…っっ」

だいぶ頭の中がすっきりした。三成様の顔も、さっきより、はっきりと見える。

「おい、貴様は寝ろ。明日に差し支える」

「別に平気っスよ。三成様こそ、いい加減寝ないと目の下の隈取れませんよ」

白い肌には目立つその隈も、今日で三日目だ。寝ない、食べない、休まない。そんな暇があるなら働く。それでいて、夜には相手をして下さる。本当、この人ってスゲェわ…。

「体、大丈夫ですか?」

「気にかけるくらいなら、加減したらどうだ」

「す、すんません」

睨まれた。そういう意味で聞いたのではなかったが返す言葉もない。最初は何時も加減しようと思ってはいるが、つい情事が始まると抑えが効かなくなる。これも若さゆえだと、それらしい言い訳を頭の中で付けておこう。申し訳なさと下心の混じった手で腰をさすってさし上げたら抓られた。

「止めろ。何時までも盛るな」

「横に裸の三成様がいて盛らないとか、無理っしょ」

「ばっ、馬鹿か貴様っ」

いつの間にか半立ちになった自分の分身を三成様の腹に押し当てると、三成様は頬を染めて声を荒らげた。正直な所、性的な興奮で反応したのではなく、朝勃ちみたいなもので、ただの生理現象だ。まあ、このまま生理現象で終わらせるか終わらせないかは俺と三成様次第だが。ぶっちゃけ抱けるならもう一度抱きたい。結論が出れば体は正直で、それに向けての準備が勝手に始まる。勝手に硬度が増して、勝手に腰が疼きだした。三成様も、それに気がついて明らかに視線が俺のそれへと下がる。

「三成様」

返事を促す為に名前を呼ぶと目が合った。少し視線を彷徨わせて薄い唇が言葉を発しようと、微かに開く。

「…好きにしろ」











胸を嬲られる三成様は、俺の頭を抱きかかえながら声を殺していた。舌先に力を入れて突起の輪郭に沿ったり押し潰す様に転がしてやると、抱える腕に力が込もって小さな声が漏れる。

「んっ…く、ぁ…」

高めの上擦った声は淫らで、普段の三成様からは想像もつかない。この声が聞きたくて、つい悪戯に手が伸びてしまう。

「ひっ!?…左、近っ」

「はい。なんですか」

「手を…離せぇっ」

咎められるのを分かっていて、それでも手を動かすのは止めない。下腹部に伸ばした手で、三成様のそれを上下に擦り上げた。亀頭から小帯を何度も往復させると、滑り気のある汁が先端から溢れ始める。溢さない様に指で掬い上げて全体に塗りつけてやると、粘着質な音が聞こえ始めた。三成様の手が、止めろと言わんばかりに俺の手を掴む。その手を取って、俺は三成様に自らを握らせようと手を引くと、嫌がって振り払われてしまった。が、強引に自らを握らせる。動かない三成様の手に、手を重ねて無理やり上下に動かさせた。

「貴、様っ!」

「三成様も、して下さい」

ゆるゆると動かすのを手伝いながら、三成様への奉仕も忘れない。暫くしてから三成様の手を離すと、一人でに動くようになっていた。細い指の人差し指に出来た剣胼胝が何とも良い所に当たる。亀頭を人差し指で握って鈴口を親指で撫でられると、声が出そうになった。

「っ三成様、やっぱ上手っスね」

「黙れ、馬鹿がっ、…んっ」

「結構張って来てますけど、イキそうですか?」

「その、淫らな口をっ…閉じろっ」

目尻を赤くした三成様は、布団に顔を埋めて顔を隠す。二度目とあって、一度目よりも限界が早いのか、三成様のそれは大分きつそうだった。先端を上下に擦るのを止めて、竿の部分をゆっくりと力を加えて握り込む。

「ふっ…あ…ぁ」

「もうちょい、我慢できますか?」

少しでも長く、三成様と触れ合っていたい。少しでも多く、三成様と繋がりたい。口を吸って舌を絡めて愛し合ったのは、まだほんの一刻前だと言うのに、もう渇いて仕方がない。もう一度、薄い唇に舌を這わせると三成様の舌が迎え入れてくれた。口吸いの最中も、三成様は俺のそれを上下に扱き続けるので、俺も三成様が達してしまわない程度に握る手に強弱を付ける。

「ん…んんっ…」

息継ぎが苦しそうな三成様。何度も何度も、舌を絡めて吸い上げる。唇を離すと、薄紅に染まってぽってりと腫れた唇から唾液が糸を引いた。

「三成様、後ろ…。良いですか」

三成様の手の中で、俺の限界が近いと告げていた。先走りの汁が三成様の手を汚す。お互い布団で横向きに向かい合う形だったのを、三成様を下に、そこに俺がのしかかる形で向かい直す。許可を求める俺の首に、仰向けになった三成様の両腕が絡まった。

「好きにしろと、初めに言った」

「はい」

許可は頂いた。もう一度、もう何度目か分からない口吸いを今度は三成様から俺に。口を吸いながら三成様の脚を片方持ち上げる。秘部に指を這わせ、入口を軽く引かっくと、三成様の腰が跳ねて俺の舌を噛んだ。痛みで咄嗟に舌を抜くが、どうやら血は出ていないようだ。直ぐに舌を差し直して、指の動きに集中する。中指、人差し指、薬指を簡単に飲み込んだそこは、最早慣らす必要がない程に収縮を繰り返して指を締め付ける。

「大丈夫だと思いますけど、痛かったら言って下さいね」

気遣う言葉をかけているのに、俺はその返事も待たずに三成様へ挿入を始めた。温かい肉壁が広がって、先へ進むように促してくる。わざと腹部側の肉壁を抉るように押し進めていくと、三成様の腰が、さっきとは比べ物にならない程面白いくらい跳ね上がって腹筋が痙攣を始めた。

「うあっあぁ…あぁぁぁぁっっ」

「…痛いですか?」

「っんん…っぁ」

歯を食いしばって首を横に振る三成様。痛くないのは知っている。一度目も同じようにして抱いたのだから。だから容赦なく俺は中を突き上げた。

「ああぁぁ!」

「っうあ、スゲ…締まる…っ」

きりきりと締まる肉壁でイキそうになるのを、じっと堪えて波をやり過ごす。押し寄せる射精感を堪える中、三成様は無理だったのか、白濁の精液を強張った自らの腹に飛ばして首の辺りまで汚していた。射精の快感で三成様の中が更に締まる。もともと俺も限界が近かく、これ以上は堪えきれそうにもなかった。ようやく身体の力が抜けた三成様の腰を掴んで、俺は下腹部に力を入れながら律動を開始する。達したばかりで力の入らない三成様は、最早声を殺す素振りすら見せず、抱えられた脚を、がくがく揺らしながら引切り無しに声を上げていた。

「あ、あ、あ、あ、あっ、さっ…こんっあっ、あぁ!んぁぁっ!」

「っ三成様…。三成様っ」

「あんっ、ああぁっ!はや、くっ!早く…イけっ!!ああっ」

「まだっ…駄目っスっ。っ…はぁっ、三成様っ」

「左近っ!早くっ、早くっ…あっああぁっ」

本当はもう半分近く中で出してしまっているのだが、目元を濡らして声を上げる三成様の姿があまりにも艶っぽくて、ぎりぎりまで我慢している状態だった。しかし、どうやらそれも此処までの様だ。腰の疼きが治まらない。三成様の一番奥まで届くように腰を押し付けて、残りの精液を吐き出した。










流石に二度目の情事は身体にこたえたらしく、腕の中で目を閉じる三成様は、惜しみなく晒した色の白い四肢を俺の体に絡ませて、寝息を立てていた。俺も一度ぬぐい去った眠気が再び顔を覗かせて瞼が重い。疲労感と人肌が急速に眠りへと誘い始める。今度は俺も拒む理由は無い。三成様の寝顔を眺めて、目を閉じた。


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