雑記

□麗しのソプラノ(完)
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にやりと笑う雲雀からは不穏な気配しかしない。沢田は顔を手で覆ったまま、つぶやいた。

「……何が目的です」

「目的?」

「お金なら無いですよ。横暴なギターがお給料全部ぶんどってますから」

「お金なんていらない」

そんなの何処にでも転がっている、と雲雀はまた笑った。

「僕が欲しいのは君」

「…誘拐?」

手を退け、怪訝そうな顔で雲雀を見る。

「僕は歌は好きでね。君のCDも持ってる」

「極悪非道超冷血風紀委員長の雲雀さんが!?」

「僕をどう見ているかは良くわかった」

「えっ…ぁの、いや……っ!?」

慌てる沢田の腕を、一瞬にして掴むと、雲雀は歩き出した。

「ちょっ!!何処に!?」

「忘れてない?君は遅刻常習犯に、アルバイトもしている。校則を破りすぎだ」

すたすたと進み、学校の中へと入って行く。

「か…っ噛み殺される!!!!」

「そんな事はしない。君には応接室で歌ってもらう」

「へっ…!?」

「言っただろう。『君が欲しい』と」

「え〜〜〜!!!!!!!!」

「これでわざわざCD買わなくて済むよ」

「そんな理由ですか!?」

「……歌だけ、では無いけど」

「何か言いました!?」

「いや、なんでも」










ずりずりと引き摺られていく沢田。

実は入学式から気になっていた『小動物』が、雲雀の唯一聴く音楽家のボーカルで、しかも自分の家の裏で毎日歌っていて。

そしてついに今日、自分の城へと連れて行ける。

どうやってこの小動物をなつかせようかとわくわくすると、雲雀は滅多にしない笑顔で校内へ進んで行く。




















「誰か助けて――――――――!!!!!!!!」

「君、地声可愛いね」












END



なんか雲雀さん最後特に変態っぽいねってお話し






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