GINTAMA
□Autumnal breeze
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「うおっ!!」
突然吹いた風に髪を遊ばれ、空を仰ぐ
ここから見た空は酷く遠く感じる
秋独特の蒼
夏には生ぬるかった風が、もう冷たいい風になっていた
「多串君」
不意に遠くから、でも通る声で呼ばれた、いつか名付けられちまったあだ名
でもそれが妙に嬉しかった
振り向けばきっとテメェがどこかに居るんだろう
いつものようにヘラヘラした格好で
想像しただけでッ…
多分今、俺の顔は酷ェ事になってるだろう
顔が火照る
段々近づいて来たアイツの足音
その度に心拍数が上がる
ドク…ドクン…
「おィこら、銀さんを鹿頭ですか。お詫びにチョコパ献上しろコノヤロー」
ドクン、ドクンッ
嗚呼、心臓が煩い
もし銀時に感付かれてしまったらどうするんだ
自分に言い聞かせる
「?多串君?」
トン、と右肩に銀時の左手が添えられる
熱い
きっちり着込んだ隊服の上からでも伝わってくる熱
その熱が伝染してか、触られた箇所が熱を持ち始めてしまった
そうなればなかなか下がってはくれない
風がとても冷たく感じた