月のお茶会

□血の味
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ーーゾルディック家

キルアがイルミに連れ戻された。
それをゴン、レオリオ、クラピカが助けに来た。
最初は耳を疑った。
だってあのゴンが俺なんかを助けに来るなんて…。





喜んだのもつかの間。
すぐに分かった。
ゴンは俺を助けに来たんじゃない。





玩具を取り返しに来ただけ。

そうだよな…。
ゴンは俺をなんとも思ってない。
だって、俺に愛情なんかくれない。
俺がいつも貰うのは…


血の味


それも


自分の…


でも、会いたい。
ゴンに会いたい。
そして俺は、重い足を引きずって ゴン達が居るであろう 執事室へ足を運んだ。
そして、ゴンがこちらに気づいたらしく、その大きな眼を輝かせて駆け寄ってきた。


いや


そう思ったのも つかの間。
すぐに 暗い暗い闇に染まっていくのが分かった。

「ダメだよ。キルア。俺の処から消えたら。」
「…ごめん」
「…ダメ。今夜は絶対寝かせないからね。」
「…ごめん」

絶対寝れないな。
どうせ、俺を殴って 殴って 殴り飽きたら 鎖で繋いで…。
レオリオ達に助けを求めたい。
でも、ダメだ。
そしたら、ゴンがレオリオ達に暴力を振るってしまう。
もう、俺が犠牲になるしかないんだ。

俺が犠牲になれば…。


「ゴン…。」
「なに?」
「ずっと…傍にいて…」
「もちろんだよ。キルア…」







こうするしか

なかった




血の味

そして

愛の味



END
 

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