短編

□風邪の役得 F
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トントン、

軽いノックの音。
「藤代、大丈夫か?」
渋沢キャプテン。
今朝、風邪引いた俺におかゆを作ってくれた!
ソンケーできる、すごく良い先輩。
「大丈夫に見えます?」
俺の代わりに答えたのはタク。
じと、とした目で俺を見るのは止めてほしい。居た堪れない。
「あはは、見えないな。」
その目に気付かないキャプテンには、俺へのフォローの仕様が無い。
どっか抜けてる人だから、しょうがないって言えばそこまで。
「ああ、そうだ、藤代。」
「・・・あい?」
「不破が着たぞ。」

がばっ、くら、ばたん。

「何やってんの誠二。」
呆れたように言われて、恥ずかしさのあまり(それのせいだけじゃないけど)顔が赤くなる。
不意打ちなキャプテンの台詞に思い切り起きて、眩暈、逆戻り。
かっこわるー・・・
「藤代。」
よく働いてくれない頭。聞き覚えのある声を感知。
「じゃ、悪いけど不破、誠二のことよろしくね。」
「ふむ、了解した。」
「藤代、お大事にな。」
何が起こってるのか、頭が着いていかない。
ぱたん、という音に、辛うじてタクとキャプテンが部屋を出て行ったのだけが分かった。

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