短編

□星に願いを
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「渋沢。」
「ん?・・・不破?」
ぽす、と肩に乗せられた頭。
普段なら、彼はこんなことしない。
だからこそこんなに驚いている。
「・・・落ちる。もうすぐ、そんな気がするのだ。」
その言葉の真意が分からない。
不破自信も、同じだろう。困惑気味に眉を寄せている。
「落ちるって、星が?」
「そうだ。」
どうしてそんなことを思うんだ。
そう問おうとして、それが無駄なことを知る。
不破に聞いたところで、彼が悩んでいるのに分かるはずがないからだ。
「流れ星、か。」
「・・・・・・」
何か言いたそうだったが、不破は口を閉じた。
「3回唱えれば、叶うって言うよね。」
「・・・・」
ただの噂、だろう。
そう思ったけれど、渋沢には伝えなかった。
後ろに手を付いて、空を見上げた。
そして、何も考えないままに呟くように

「そろそろだ」

言った。


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