短編

□mirror
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言葉は出なかった。
ただ、不破の言葉に呆然とするばかりだ。
組み敷いていると言うのに、怖がった顔はしない。
むしろ痛そうな、悲しそうな顔をしている。
「…はっ、俺がどんな顔してるって言うんだ?」
「ひっ、やぁ…っ」
中心部を、手ではなく膝で捏ねる。
これで感じる、とんだ淫乱だ。そもそもそうなるようにしたのは誰でもない俺自身。そうなるように願い、実際にさせたのだ。
「っうあ、…か、み…っ」
頬へ伸ばされた手を目で追う。
「……不破、」
「あ…、三上…」
そんな目で見るな。
なんで、お前が…

「みかみ……泣くな、三上…」





言われて初めて、不破は俺の鏡だったことを知った。



end.


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