短編
□風邪の役得 F
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「大丈夫、誠二?」
「う〜〜・・・頭痛い・・・」
「まったく・・・不破に移されたんじゃないの?」
タクの言葉は暗に『俺に移さないでよ』と言っていて、居た堪れなくなった。
三上先輩には『馬鹿代』とか言われて指差して笑われたけど、そんなことどうでもいい。
あの晩のこと、不破が覚えててくれればそれで。
「誠二、気持ち悪い。」
「・・・・・・ええ?」
いきなり言われて、軽くショック。
「病人の癖に、やけに嬉しそうじゃん。にやにやして気持ち悪いよ、誠二。」
うわぁ、そんな顔してた?
声が掠れてでなくて、目で聞いたらはっきり頷かれた。