短編

□星に願いを
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「落ちる。」

彼の言葉はいつも唐突だった。
「えっと・・何が?」
「星だ。」
星?と彼に習って上を見上げると、月の無い空に星が散りばめられている。
「・・・何も無いけど、どうしたの?」
不思議そうに尋ねると、彼はむぅ、と困ったような声を出した。
「・・・なんとなく、だ。」
「?」
彼にしては珍しいその答えに、多少の驚きを覚えた。
彼の答えに一番驚いているのは彼自身。
というよりも、他に答えようがない。
「・・・暗いな。」
「・・・・・・ああ。そういう場所だ。」
ざぁ、と音がした。
自然に囲まれたこの場所では、街の明かりはほとんどない。
だからこそ、空に散りばめられた星が良く見える。
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