犬妄想文格納庫。
□止め処なく。
1ページ/1ページ
涙が溢れて如何しようも無くなった。
何故なのかはよく解らなかったけれど。
俺の腕の中で無防備にすやすやと眠るかごめがたまらなく愛しくて、それで居て可愛らしくて。
幸せで幸せで、この幸せが長く続けば良いと柄にも無い事を考えては苦笑いを一人漏らして。
なのに何故…俺は、泣いているのだろうか。
如何しようも無い程哀しく切ない、辛い夢を見ていた様な気がする。
内容なんて覚えちゃいねぇけど、確かに見たんだ。
夢から覚めて、心臓の動機を治め様と胸を掴もうとした瞬間、その存在に気がついた。
優しい、重み。
「重い」なんて言ったら、きっとお前はまた「でりかしぃ」とかなんとか訳の解んねぇ言葉で俺を叱るんだろうな。でも、俺にはその重みが救いだったんだ。
俺が自分で掴むより先に、もう既に俺の衣の胸座を掴んでいたかごめ。
余りの事に思わず吹き出しそうになったのを、やっとの事で噛み殺した。
俺の腕の中でさも満足そうに笑みを零しながら安心しきった表情で眠るかごめを見ていたら、何故だろう。
涙が、止まらなくなったんだ。
この「かごめ」という存在が俺の存在する意味。
かごめが居てくれたから、俺は今此処に居る。
かごめと言う居場所が俺に生きる術を与えてくれる。
きっとこんな事を言ったら、只の気鬱だろうとお前は笑うだろうな。
いや…心配するのかな。
どっちでもいい、とにかく俺には…
かごめが俺の世界の全てなんだ。