犬妄想文格納庫。

□欲望。
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はしゃぐかごめを横目で見ていた。

透明な、笑顔。

その笑顔、俺だけの物。他の誰の眼にも触れさせたくない、触れさせない。

その存在も俺だけの物。俺の腕の中だけに留めて、永久にその動きを封じてしまいたい程。


俺の、願望。



手首を掴んで引き寄せて脚を脚で絡め取って唇を奪って嫌がろうとも離さないで強く抱き締めて抵抗なんて微塵も許さずに力で押さえ付けて大嫌いと言われようと卑怯だと罵られようともその言葉を口付けで封じてかごめを俺と言う名の檻の中に閉じ込めて息絶えるその時まで俺から離れられない様に腕を押さえて俺の匂いと全てを刻み込んでかごめの身体に自分を主張してその可憐な面をこれ以上は無い程に俺の手で歪めて唇から霰もない声を出させて嫌がるかごめを無理矢理にでも犯し尽くしてその全てをかごめの全てを俺が把握出来る様に俺が支配出来る様に何処へも行かない様にずっと俺の側に居ると文字通り側に死んでもその亡骸さえも俺の側に居ると誓わせてそれでも尚満たされない俺の欲望と感情はかごめを苛み犯しその後に優しく口付けをかごめに落として安心させてもきっとまた俺は不安になってかごめを言葉と行為で脅してそれがかごめと俺が死ぬまでずっと際限なく続くんだ。



俺のかごめ。

誰にも渡したくない。

だからいっその事。



…殺してしまおうか?



大丈夫だ、安心してくれ。
俺もすぐに逝くから。

同じ所には…逝けそうにないけれど。

怖くなんかねぇよ、俺を信じろ。
痛くなんかねぇ。俺がお前にそんな事する訳ねぇだろうが。

そんな眼で見るなよ、殺り辛くなんだろうが。

死にたくねぇなんて言うなよ。
俺と死ぬの、そんなに嫌か?

解れよ、こんなにお前の事が好きなんだ。
初めてこんなに愛しいと思ったんだ。

俺だけの物で居て欲しいんだよ。
他の誰の眼にも触れさせたくねぇんだ。
たとえ行き着く処が黄泉だったとしても、俺だけのかごめになるなら俺はそれで良いのかもしれねぇ。



こんな俺、最低だって解ってる。




愛した女が死ぬ辛さはきっと誰より知っていた筈なのに、今はこんな事を考えている。

いっそ、俺だけが死ねば問題は無いのだろうか?
かごめを置いて、死ぬ。

…駄目だ、俺にはそんな勇気はねぇ。

かごめの為になら、何時だってこの命を捨てる覚悟は出来ている。けれど、かごめを残して逝くなんてそんな残酷な事、俺には出来ねぇ。

残される苦しみと悲しみは、俺だけが知っていればいいんだ。

…あぁ、こんな俺にかごめを殺すなんて事、出来る筈がねぇよな。

今は、我慢して居ろって事か。
俺が守れば、それで良いのか。

かごめは笑ってくれる。


ならば、耐えて見せよう。
自身の欲望にも、死への飽くなき渇望にも。



この命尽き果てるまで。

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