駄文
□三つ巴。
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朝、眼が覚めたら信じがたい事が起きていました。
それはきっと夢で、…ううん、夢だと信じなければ自分は狂ってしまいそうで。けれどその現実は確かに。
私の。
眼の、前に。
…*******…
「おい、かごめぇー?もう朝だぞ!?」
「んー…、も、もうあさぁ…?」
いつもと同じ様に、半ば無理矢理に起こされる。その事に違和感なんて物は感じる筈も無かった。
…その筈なのだが。
「んーっ…」
眠たげな眼をごしごしと擦り、かごめは何気ない動作で犬夜叉の声のする方を見やる。
すると。
「………え?」
もう一度、よく眼を擦る。
「えぇえぇええぇ!?いっ…、」
「なんだよ」
「い、い、いいいいぃいい、犬やっ…!?」
余りの驚きに、舌の呂律が回らない。
「なんでぇえええぇええ!!?犬夜叉っ…うそぉ!」
そして、答える声がまるで示し合わせたかの様に、次々と響き始める。
「なんでって、仕方ねぇだろ?朝起きたらもうこうなりやがっててよぉ…」
いつもの姿、少し拗ねた様な声。
「俺達だってよく解ってねぇんだけどよ…。取り敢えず気持ち悪ィって事だけは確かだな」
普段、朔の夜にしか見られない筈のしなやかな黒髪。
「まぁ別に良いんじゃねぇの?特に支障って程の支障なんてねぇし」
狂気が縁取る、紅と藍を併せ持った眼。
かごめの目の前には、3人の犬夜叉が居たのだ。
「なっ、なっ、なんっ…!?」
その言葉をいつもの犬夜叉がさらりと引き継ぐ。
「なんでっ…て聞きてぇんだろ?」
次いで朔、妖と。
「だから俺達だってよく解ってねぇんだって」
「ま、俺は嬉しいけどな。そのおかげでこんな事だってお前にできる」
「え?って、きゃあぁ!!」
言ったかと思うといきなり手首をぐいと引っ掴まれ、妖犬の胸元へと引き摺り込まれる。
「やっぱ良い匂いだぜ…お前」
それを見た二人の犬夜叉が声を荒げる。
「てめぇ、畜生!抜け駆けしてんじゃねぇよ馬鹿野郎が!!」
「つーか、かごめから離れやがれ!!」
答える妖犬の口調も俄然荒くなる。
「るっせぇ!!てめぇらはそこらで突っ立って見てろ!俺はこれからこの女とイイコトするんだよ!」
「へ!?」
信じる事が出来ない夢の様な、いや夢であって欲しい出来事に思考を奪われたかごめの心を、更に揺さ振るその一言。
「ちょちょちょっ…あんた何言って…!!」
「良いじゃねぇか。…優しくするぜ?俺なりに、な」
「違くて!そういう意味じゃなくって…、」
「そういう意味じゃ無けりゃ、どんな意味だ?」
言っている間にも、妖犬の手はかごめのスカートをするりとたくし上げようとする。
「や、やだっ!ちょ、もうっ…」
「おすわりぃいいいぃぃぃいいいいぃいぃいいぃ!!!!」
「ぎゃん!!(×3)」
とっさに言霊を口にした瞬間、当然とでも言うべきか、犬夜叉は仲良く(?)そろって地面に勢いよく倒れ伏した。
「あっ…ご、ごめん!そっちの二人も倒れちゃった!?」
「かごめ、てめぇ…」
「つか、この人間の身体にそれはきついってもんだが…」
「俺の心配もしやがれ女!!本気で犯すぞ!?」
「ばっ…!馬鹿ー!!おすわり!!!!」
「ぐはあぁああぁあ!!(×3)」
「ま、またやっちゃった…」
「お、おまえなぁ…」
「さ、三人とも…、ご、ごめん…ね?」
精一杯の笑顔をその顔に浮かべ、謝罪の言葉を口にする。
…が。
「かーごーめー……!?(×3)」
「ご、ごめんなさいいぃぃい!!」