駄文
□重い痛み。
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愛されたいと、思った。
これだけ俺がお前を愛しているのだから、それは当然だと思った。
見えない物では、物足りなかった。
形として、行動として、何かが欲しかった。
それは、情事の度にお前に刻み付ける口付けの痕でも爪痕でも無くて、そんないつかは消えてしまう様な儚い物では無くて。
ほんの、些細な事で良いんだ。
ほんの少しの気紛れで、ふとした瞬間に俺の頬に軽く口付けてくれたりして、そしてはにかんで笑ってくれる、本当にそれだけで。
俺は、幸せなんだ。
凄く凄く、幸せなんだ。
今、お前の心の中には俺の事しか映ってないって、そう自惚れる事が出来るから。
それだけで俺は、己を保っていられる。
でも、それが中々叶わないから俺はお前に愛を刻む。
ただひたすら、一方通行の愛をお前に注ぐ。
気付かれなくても、きっとそれで良い。
俺の心に歪みを生じさせたのは、かごめ。けれど、その歪みを正すのもやはり、かごめ。
俺の歪んだ思いは、正されるその日を今か今かと待ち侘びて果てるのだろう。
そんな日は来ないと心の中では気が付いているのに。
期待するだけ、無駄だと言うのに。
返って来る事を考える事は、とても浅ましいから。
せめて今だけ、無償の愛をお前に。
お前の中に俺を残す為に。
お前から溢れ零れ漏れ出すまで、注いであげよう。
重い、痛みを。
痛い、愛を。
君に。