駄文
□雲。
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流れる雲を見ているのが好き。
土手に座って、ぽーっとして上を眺めているのが好き。
暖かい日差しが好き。
変幻自在に形を変えていく雲が好き。
ずっとずっと、見ているのが好き。
遠くから私を呼ぶ貴方の声が好き。
でも、私は答えない。
もう一度、さっきより大きな声で私を呼ぶその声も好き。
でも、私は答えない。
しびれを切らして、少し乱暴な足取りで草を踏みながら此方へ来る貴方の、草を踏む音が好き。
「おい、聞こえてんだろ。」
何時の間にか土手で寝っ転がっていた私の上に落ちる、貴方の影が好き。
「…おい、返事しろよ。」
ぶっきらぼうな物言いの中に温かさと優しさの混じる、貴方の低い声が。
「なぁ…かごめ?」
私の名を呼ぶのが。
「なぁに?」
堪らなく、大好き。