駄文
□異界陶酔。
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心の中は、既にがらんどうだった。
大切な物があの日からごっそりそぎ落とされて、俺は生きる者として、沢山の必要不可欠な物を失った。
生きている意味も失った。
それなのにまだこうして無様に生きている訳は、此処まで来てもまだ何処かでかごめに会える日が来る事を信じて願っているから。
心の何処かで諦めているのに、心の何処かで諦め切れていない。
あまり、上等な精神とは言えない。
それでも、縋るしか無かった。
そうしないと、残り僅かな「俺」を「俺」たらしめる物が消えてしまうから。
かごめのいない、今。