□SUNDAY
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「つーかさ、今更だけど何で俺?」
「うーん…顔と、体?」




―SUNDAY




付き合う様になって初めての日曜を迎えるにあたって、土曜の部活終り俺は思い切って越野に声を掛けた。
いきなりだって事もあるし、意識してから初めてって事もあってか越野はなかなか渋った様子しか見せてくれなくて半ば強引に決めて泊まりへと漕ぎ着けたのが昨日の夜の話。
着替えも何も持って来て無いからって事でお互い一回家に帰って、改めて俺の家の近くのレンタルビデオ屋で待ち合わせした。
家に帰ってからは案外意識する事も無くて、こうなる前と同じ様にご飯食べて週バス読んで越野に言われて宿題やって。
そこまではいつもと同じ。
で、いつもと同じ様に俺、越野の順にお風呂入ったらさぁ大変。
意識した途端に越野が妙にエロちっくに見えて、みっともないとかそんな事気にしないでがっついて、最初は左頬に強烈な右ストレートをくらいはしたものの無事雰囲気も作って美味しく頂いたりなんかした。
その後はお互い妙に恥ずかしくなったせいか、甘い雰囲気もそっちのけで別々の布団でおやすみなさい。
そうこうして今日。
朝食をすませてから昨日の待ち合わせ場所で借りたDVDを見始めた。
アクション映画にちょっと入った有り勝ちなラブシーンで、ヒロインの人がどうして私なの?と聞いた途端それまで静かだった越野が口を開いて同じ様に尋ねてきた。
そんなの分かるわけがない。
DVDを一度停止してただジッと越野を見ると、改めて好きだと思える場所がどんどん出てきて言い切れなくて、とりあえず二つ。
毎日毎朝毎晩見せてくれる、何よりも誰よりも素直なその笑顔が好き。
クラスの中じゃ大きい方なのに、バスケット選手としては恵まれてるとは言えないはずのその体で一番に俺達を盛りたてていくその姿が好き。
ホントはもっとあるけど、言っていったらきりが無い。
俺が越野を好きって気持ちが煩悩なら、俺の気持ちは除夜の鐘じゃ消しきれないと思う。
108つじゃ足りない。
それぐらい好き。

「大好き」

言い切れない気持ちをたった一言に乗せたつもりが、その直後に昨日と同じ場所にヒットした越野の右、それも捻り付き。
頬が赤くなってるのは見なくても想像がつく、だってほら、凄いジンジンしてきた。
何で怒ってんだろ。
いきなり立ち上がった越野は、そのまま急ぐ様に自分の荷物をまとめ始めた。
あー、帰るつもりだ。
気付いてしまったら止めないわけがない、立ち上がって越野の手から鞄を取り上げて、無理矢理手を引いて座る。
越野は俺の膝の上。
がっちりと腕を組んで離さないでいると、やっぱり腕の中で暴れられた。
でも離したらきっとすぐに帰って、学校に行っても部活の間以外無視されるのが目に見えてるから、帰してやらない。

「離せって。顔と体だけ何だろ?それなら昨日もうやる事やったんだから良いじゃねーかよ」

あー、そう言う事か。
胸を強く叩かれて咳込む、だけど腕だけはそのまま。
何とか誤解だと言いたくて、だけど咳は止まらなくて、腕に力を入れてる余裕も無い。
あぁ、帰っちゃう…と思ったのに、越野は優しく背中を撫でてくれてたった一言ごめんと謝ってきた。
確かに痛いし咳も止まってないけど、謝るべきは越野じゃなくて俺。
少しずつ調ってきた呼吸に、途切れがちにごめんと謝った。
今思えばアレは明らかに俺の言い方が悪い、誤解されても仕方無い。
今度は越野の腰をそっと抱き締めて、もう一回顔を見て、目を合わせて笑顔が好きだって、試合中に皆と頑張る越野が好きだって訂正した。
それと、他にもあるけど今は恥ずかしいからこれだけで勘弁なんて最後の最後に冗談っぽく。
そしたら目の前の越野は一気に顔が真っ赤になって、可愛いなんて言ってほっぺたにキスをしたら本日二度目の右をくらった。
だけどその右はさっきのよりずっと痛くなくて、思わず笑う。

「大嫌いだ、バーカ!」

そう言ってそっぽ向いても耳の赤さは隠せてない。
きっと恥ずかしがってるだけ。
何だかんだで滅多に人を嫌わない越野が大嫌いなんて使うのは俺に対してだけだって知ってる、だからきっとそれは、甘えてくれてる証拠。
そう考えるとほら、反対の意味にしか聞こえない。
越野が素直じゃないなら、俺がその分素直に言おう。

「愛してる」










元ネタ曲 → ザ・ベイビースターズ【SUNDAY】
某パンを作って食べて凄いリアクションをするアニメのEDなんて秘密


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