当×征小説

□続 19歳 盛夏
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「…っ!」


首筋に口付けられて征士が身体を強張らせると、当麻が心配そうに顔を覗き込んだ。


「征士…。やっぱ、止めとく?」


「……聞くな馬鹿者」


「…けど、これ以上いったら俺、多分止まらない」


「止まらなくて、いいから―――」


促すように征士がキスをすると、逆に激しく唇を奪われた。


「…っふ、ん……」


いつものキスとは違う貪るような口付けに、征士はすがるように当麻の肩を掴んだ。


「……っあ!」


シャツの釦を外され当麻の唇が胸を辿ると、自分の物とは思えない声が出て、征士は恥ずかしさで唇を噛む。

その間にも、当麻の手が下肢に伸びていて、征士の身体がビクリと跳ねた。


「………っ!」


敏感な部分を愛撫されて、征士は必死で声を殺した。


「……っく……」


「征士…。声、聞かせて」


噛んだ唇を解くように口付けられて、しかも愛撫の手は緩められなくて―――征士はいやいやをする様に頭を振った。


「や……当麻…っ。あ、ぁ…っ」


上擦った声が出て、征士は羞恥に涙が出そうになった。


「愛してる―――」


耳元で囁かれる声にすら、身体が反応する。
当麻が触れていく側から、今まで知らなかった感覚が征士の身体を侵略してゆく。

それは思考までにも及びそうで、征士は“恐い”と思った。

自分が自分で無くなりそうで、そんな自分を当麻に見られることが恐ろしくて。


「や…っ。いや…っだ!当……麻…!やめ……」


当麻は、自分を押し退けようとする征士の手を捕って、シーツに押さえ込んだ。
上から征士の顔を覗き込む。

怯えたような菫色の瞳が、涙に濡れて当麻を映していた。


「止まらないって…言っただろ?」


熱っぽい様な、艶っぽい様な瞳で自分を見つめる当麻を、征士は茫然と見上げる。


「……当、麻……」


白い頬を、涙が伝う。それを掬うように、当麻はそっと口付けた。


「大丈夫だから……。全部見せて―――」


「当麻………」



ずっとずっと手に入れたかった愛する人の身体を、当麻は抱き締める。
しなやかな白い身体は、当麻が与える快楽にほんのりと色付いて綺麗だった。


穿たれた欲望に苦しそうに啼いて、征士は当麻にすがる。
宥めるように口付けて、当麻はもう一度強く
征士を抱き締めた―――




 *********




征士が目覚めると、当麻の心配そうな瞳が目に入った。


「……当麻?」


「大丈夫か?……征士」


何が――?
と思ったが、自分も当麻も裸なのに気付いて、昨夜の出来事がいっぺんに征士の頭に蘇った。

かあっと顔を真っ赤にして征士は布団に潜り込もうとしたが、腰に走った激痛に呻いて布団に突っ伏した。


「〜〜〜〜〜っι」


「大丈夫か?征士。………ごめんな」


「謝るな…馬鹿者」


……誘ったのは、私だ。

征士はそっと当麻を伺う。


全く……情けない顔をして。
恥ずかしさも、何処かへ行ってしまったではないか。


「……そんな顔をするな」


当麻の頭を引き寄せて、そっとキスをした。
幸せそうに笑う当麻に、征士も微笑む。


二人の夏は、始まったばかりだ―――


‐END‐

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